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2008年08月29日

危急時に行う遺言の作成方法

■特別方式による遺言


遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という普通方式の遺言があります。

しかし、死期が迫っているなどして普通方式による遺言を作成することが出来ない状況にある者が遺言をすることが出来るようにするため、法は作成要件を緩和した特別方式の遺言を制度として定めています。


特別方式の遺言には、死亡の危急に迫った者が行う危急時遺言と一般社会から隔絶された状況におかれた者が行う隔絶地遺言があります。


さらに、危急時遺言には一般危急時遺言と船舶遭難者遺言があり、隔絶地遺言には伝染病隔離者遺言と在船者遺言があります。
 

■危急時遺言

一般危急時遺言

次の要件を満たす場合には、一般危急時遺言をすることが出来ます。

@疾病その他の事由によって死亡の危急が迫っていること

死亡の危急が迫っているか否かについては、遺言者が主観的に自己に死亡の危急が迫っていると判断すれば足りると解されています。

もっとも単なる予想程度では足りません。
    
なお、遺言者が危急状態から脱して普通方式の遺言が出来るようになってから6ヶ月が経過した場合には、危急時遺言の効力は生じないとされています。

A証人3人以上が立会うこと

証人は欠格事由のない証人適格を有する者でなければなりません。

したがって、例えば証人3人の中に推定相続人が1人でもいる場合には、この要件を欠くことになり遺言は無効になります。

なお、証人全員が遺言の最初から終わりまで立会っている必要があります。

B遺言者が証人の1人に対し遺言の趣旨を口授すること

口授とは、言葉を口で話して相手に伝えることを意味しますので、基本的には口授する能力が必要とされています。

もっとも、遺言者が口の利けない者の場合には、遺言者が証人の前で遺言の趣旨を通訳人の通訳によって申述して口授に代えることになります。

C口授を受けた者がこれを筆記すること

筆記は、口授されたことと一文一句同じである必要はなく、口授の趣旨が筆記されていれば良いと解されています。

なお、筆記にはタイプライター、ワープロの利用が可能であり、筆記する場所は、口授とは違う場所でも良いと解されています。

筆記したものを加除・訂正する場合には、筆記者及び各証人が変更した旨を付記し、署名・押印をしなければなりません。

D口授を受けた者が筆記したものを遺言者及び他の証人に読み聞かせ又は閲覧させること

遺言者又は証人が、耳が聞こえない者の場合には、筆記した内容を通訳人の通訳によって読み聞かせに代えることになります。

E各証人がその筆記が正確なことを承認した後これに署名押印すること

証人全員が署名押印する必要がありますが、押印は認印で構いません。

遺言者本人の署名押印は不要です。日付は普通方式の遺言と異なり要件とされていませんので、記載する必要はありません。


一般危急時遺言は、遺言の日から20日以内に証人の1人又は利害関係人が家庭裁判所に請求して確認を得なければ効力が生じません。

これは、遺言が遺言者の真意に基づくものであるか否かを判断するためです。

遺言者の真意につき家庭裁判所が得るべき心証の程度は、確信の程度に及ぶ必要はなく、一応遺言者の真意に適うと判断される程度の緩和された心証で足りると解されています。

なお、管轄裁判所は、相続開始地及び遺言者の住所地の家庭裁判所になります。


船舶遭難者遺言

船舶が遭難した場合で、その船舶中にあって死亡の危険が迫った者は、船舶という限られた状況下にあり、証人を確保することが困難であると考えられるため、一般危急時遺言よりもさらに緩和された要件のもとに遺言をすることが出来ます。

すなわち、証人については2人以上の立会いで足り、口頭で遺言をすることで、その場での筆記及び読み聞かせは不要です。

遺言の趣旨の筆記及び各証人の署名押印は、後日別の時にすることが出来ます。

なお、証人の中に署名又は押印をすることが出来ない者がいる場合には、署名押印できない事由を付記することが必要となります。



■隔絶地遺言

1 伝染病隔離者遺言

伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にいる者は、警察官1人及び証人1人以上の立会いをもって遺言書を作成することが出来ます。

条文の文言上は伝染病のためと規定されていますが、これに限らず地震等によって交通が遮断されている場合も本条による遺言が出来ると解されています。

遺言者及び立会人並びに証人が署名押印することが必要となりますが、署名押印することが出来ない場合には、その事由を付記することになります。

なお、遺言者が普通方式の遺言をすることが出来るようになってから6ヶ月間生存するときは遺言の効力が失われます。


2 在船者遺言

船舶の中にいる者には、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いをもって遺言書を作成することができます。

遺言者が普通方式の遺言をすることが出来るようになってから6ヶ月間生存するときは遺言の効力が失われます。


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2008年08月23日

秘密証書遺言の作成方法と留意事項

■秘密証書遺言の作成方法と留意事項は?


秘密証書遺言の長所


  1. @遺言書の存在については明らかにしながら、遺言の内容を他者に秘密にして保管が出来ること
    A自書能力がなくても作成出来ること


  2. 秘密証書遺言の長所

  3. @遺言書の内容については、公証人が関与しないため疑義が生じる可能性があること
    A遺言書を作成した事実だけが公証人役場に記録されるのみで、遺言書の原本が保管されるわけではないので、遺言書の紛失、隠匿、未発見のおそれがあること



■秘密証書遺言の作成要件

@遺言者が、遺言書に署名押印すること
A遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印す ること

B遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出し、自己の 遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること


C公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載し た後、遺言者及び証人とともにこれに署名押印すること


■秘密証書遺言作成の留意点

(1)秘密証書遺言の場合、遺言者自身の署名押印が必要とされていま   すが、自筆証書遺言とは異なり本文については、自書であること   が要求されていません。

   したがって、代筆、ワープロ、タイプライターによって遺言書を   作成することも出来ます。署名さえ自筆ですることが出来れば、   文字を書くことが出来ない者も作成することが出来ます。

(2)加除、変更については自筆証書遺言に関する民法968条2項が   準用されていますので、遺言書に加除、変更を加えるためには、   遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記してその部   分にも署名し、変更があった場所に押印する必要があります。

(3)秘密証書遺言の場合、日付の記載が必要とされていませんが、こ   れは、公証人が封紙に記載する証書を提出した日付が確定日付に   なり、この確定日付を基準日として遺言能力の有無及び内容が、   抵触する複数の遺言書が存在する場合の先後関係を判断すること   になるからです。

(4)証書の封入、封印を第三者が行っても、第三者が遺言者の面前で   証書の封入、封印をしたのであれば許されると解されています。

(5) 証人には、
   @未成年者
   A推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
   B公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
   は、なることが出来ません。

   したがって、事前に証人になる資格を持っている人2名以上に証   人になってもらうように依頼しておく必要があります。証人2名   のうち1名が証人適格を有しない場合は、遺言は無効になりま    す。

   なお、証人適格を有する証人が2名以上立ち会って署名押印して   いるが、その他に欠格者も立ち会って署名押印した場合について   は、遺言は有効であると解されます。

(6)成年被後見人が秘密証書による遺言をする際には、遺言に立ち会   った医師は、遺言者が遺言をするときにおいて精神上の障害によ   り事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を、封紙に記載し   署名押印をしなければなりません。


(7)秘密証書遺言は、ワープロによっても作成することが出来ます    が、遺言者以外の者がワープロを操作して遺言書の表題及び本文   を印字して遺言書を作成した場合は、「筆者」は遺言者ではなくワ   ープロを操作した者になりますので、ワープロを操作した者を遺   言者の筆者としてその氏名及び住所を公証人に対して申述する必   要があります。

   したがって、これに欠く場合には民法970条1項3号所定の方   式を欠き無効になります。

(8)秘密証書遺言の場合、公証役場において遺言書が存在することに   ついて記録されるだけで、公証人は遺言書を保管しません。

   したがって、自筆証書遺言と同様、紛失、変造、未発見の危険が   あることから、遺言書の保管に関し注意を払う必要があります。

   銀行の貸し金庫に保管したり、行政書士に保管を委託する方法も   考えられます。

(9)外国に在住する日本人は、領事館に行けば秘密証書遺言を作成す   ることが出来ます。

   領事が駐在していない外国の場合は出来ません。

(10)秘密証書遺言の場合は、遺言を執行するために家庭裁判所の検認   が必要とされます。

(11)秘密証書遺言としての要件を欠いていても、自筆証書遺言として   の要件を具備していれば、自筆証書遺言として有効になります。


■秘密証書遺言作成に際して必要なもの及び費用

秘密証書遺言を作成する際には、人違いでないことを証明するために遺言者本人の実印及び印鑑証明書が必要となります。公証役場に支払う手数料は、一律1万1,000円とされています




遺言書のやさしい書き方添削教室
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2008年08月20日

公正証書遺言の作成方法と留意事項

■公正証書遺言と留意事項


●公正証書遺言の長所


  1. 法律の専門家である公証人が作成するので、方式に不備があって無効になったり、文言の意義が不明で無効になったりする危険がないこと

  2. 遺言書の原本が公証役場に保管されるので内容の変造・紛失の危険がないこと

  3. 検認の手続が不要であること

  4. 文字を書くことができない者も作成することができること



●公正証書遺言の短所


  1. 公証人役場に証人とともに行かなければならないなど多少面倒であること(もっとも、遺言者が病気等により公証人役場に行くことが出来ない場合には、公証人に病院、自宅まで来てもらうことが出来る)

  2. 費用がかかること

  3. 遺言の存在及び内容が証人等に知られてしまうこと


    ■公正証書遺言の作成要件


    1 証人2人以上の立会いがあること

    公正証書遺言の作成に際しては、証人2人以上の立会いが必要とされます。

    これは遺言者が口授したことが公証人により正確に筆記されていることを確認するためです。

    証人には、

      @未成年者
      A推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
      B公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
      は、なることが出来ません。

    したがって、事前に証人になる資格を持っている人2名以上に証人になってもらうように依頼しておく必要があります。


    証人には信用できる人を選ぶべきです。職業上守秘義務を負っている行政書士などに証人となってもらえば、遺言書の内容についても秘密にして遺言をすることができるでしょう。

    2 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること

    遺言者は、公証人に対して遺言の内容を直接口頭で伝えます。覚書を口授の補助として利用することも出来ます。代理人による口授は認められていません。

    なお、遺言者が口を利くことが出来ない者の場合には、「口授」に代えて「通訳人の通訳(手話通訳等)による申述」又は「自筆」により、遺言者の趣旨を公証人に伝えることによって公正証書遺言を作成することが出来ます。

    3 公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞か  せ又は閲覧させること
     
    遺言者が耳の聞こえない者の場合には、公証人は「読み聞かせ」に代えて「通訳人の通訳」又は「閲覧」により筆記した内容の正確性を確認することで、公正証書遺言を作成することが出来ます。

    4 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署  名押印すること
     
    遺言者が署名することが出来ない場合には、公証人がその事由を付記して、署名に代えることが出来ます。


    5 公証人が、その証書が1〜4の方式に従って作ったものである旨を  付記して、これに署名押印すること


    ■公正証書遺言作成の費用

    公正証書遺言を作成する場合、公証人に対し手数料を支払う必要があります。公証人の手数料については、目的物の価額に応じて公証人手数料令(別表)において、次のように定められています。

    目的物の価額 手数料
    100万円まで 5,000円
    200万円まで 7,000円
    500万円まで 1万1,000円
    1,000万円まで 1万7,000円
    3,000万円まで 2万3,000円
    5,000万円まで 2万9,000円
    1億円まで 4万3,000円

    ※注1 @目的財産の価額が1億円を超えて3億円以下の場合には、      5,000万円増える毎に1万3,000円が加算

        A3億円を超えて10億円以下の場合には、5,000万円増     える毎に1万1,000円が加算

        B10億円を超える場合には、5,000万円増える毎に8,     000円が加算
     
        なお、上記手数料は相続人あるいは受遺者1人当たりのもので    す。複数の者に、相続あるいは遺贈する場合には、全員分の手    数料を算出する必要があります。

    ※注2 遺言者が病気等で公証人役場に赴くことが出来ず、公証人が出張して作成した場合には手数料が50%加算されます。

    このほかに公証人の旅費、日当が必要になります。



    遺言書のやさしい書き方添削教室   



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2008年08月15日

自筆証書遺言の作成方法と注意事項

■遺言の基礎知識


自筆証書遺言(遺言状)の方式


遺言者の最終意思、真意を尊重し、遺言(遺言状)の偽造、変造を防止するために、民法は自筆証書遺言に厳格な要件を定めています。


自筆証書遺言の要件としては、遺言の全文、日付を自書し署名押印することがあげられます。


自書について

自筆証書遺言においては、遺言者の真意を確保し、偽造、変造を防止するために、すべて自筆で作成するものとされています。


(1)自書とは文字通り自分で書くことを意味しますので、パソコン、   ワープロ、タイプライターによって作成することや、他人に代筆   させることはできません。

   したがって、文字を書くことができない者は自筆証書遺言を作成   することはできません。(公正証書遺言及び秘密証書遺言につい   ては、作成することができます)。

   なお、手ではなく、口や足を用いて記載することも認められると   考えられています。


(2)遺言の内容をテープに録音したり、ビデオで録音したりしても自   筆証書遺言としての要件をみたしませんので、遺言としては無効   です。

   もっとも、遺言者の思いを相続人である家族に伝えるために、テ   ープに録音したりビデオに録画して残したりすること自体は問題   ありません。


(3)カーボン複写を用いた遺言については、カーボン紙を用いること   も自書の方法として許されないものではありませんから、自書の   要件に欠けることはなく有効です。


(4)遺言者が病気等により手が震える場合に、運筆に他人の助けを借   りる程度で、添え手をした他人の意志介入した形式のないことが   筆跡の上で判定できる場合には、自書の要件を満たすと考えられ   ます。


(5)遺言の一部を他人が書いた場合、遺言者の自筆の部分についてま   で無効となるか否かについては、争いがあります。

   遺言者が、第三者が作成した耕地図を利用して遺言を作成した場   合であったとしても、耕地図上に自筆の添書きや指示文言を付記   したりして、自筆書面との一体性を明らかにする方法を講じてい   る場合には自筆としての要件を満たすとする判例もあります。


日付


日付についても遺言者の自書が必要とされています。日付が必要とされる理由は、遺言作成時の遺言者の遺言能力の有無、内容抵触する複数の遺言がある場合に、その先後関係を明らかにして撤回の有無を判断するためです。


日付がない遺言は無効です。なお、日付印を押しただけでは自書の要件を満たさないため無効となります。



自署


遺言書には遺言者が氏名を自署しなければならないとされています。

これは、遺言者の同一性及び遺言が遺言者の意思に基づくものであることを確保するためです。

氏名については、通常は戸籍上の氏名が用いられますが、遺言者の同一性を確認することができれば足りますので、通称、ペンネームを用いても問題ないと考えられています。


氏名また名のみの記載であっても、遺言の他の記載内容から遺言者の同一性が分かる場合には有効と解されています。



押印


押印は、原則として遺言者自身がしなければなりません。これは遺言者の同一性及び遺言が遺言者の意思に基づくものであることを担保するためです。


作成上の留意点


(1)遺言書に用いられる字、用語については特に制限はありません。   かな、漢字、速記文字でもよく、意味内容がしっかりと分かれば   略字を用いることができます。



(2)用紙、用具についても格別制限はありません。

   ただ、保存に耐えるものが望ましいと考えられます。

   筆記用具については、保存及び変造防止を考えると、鉛筆ではな   くボールペン、万年筆等が望ましいと考えられます。

(3)遺言書の様式については特に制限はありません。

   遺言書が数枚に渡るときは、契印するのが望ましいと考えられま   す。


(4)相続ないし遺贈する財産の特定については、既登記の不動産の場   合は登記事項証明書(登記簿謄本)の表示をそのまま記載するの   が望ましいと考えられます。

   その他株券、預貯金についても、明確に特定するように気を付け   るべきです。



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2008年08月14日

共同で遺言をすることはできるか

■遺言の基礎知識


共同で遺言(遺言状)をすることはできるか?

共同遺言の意義

二人以上の者が同一の証書を用いて遺言をすることを共同遺言といいますが、この共同遺言は民法975条によって禁止されています。


共同遺言には次の3種類のものがあるといわれています。


1)2人以上の者が同一の証書を用いつつも、それぞれ関係なく独立し  て遺言をする場合。

  例えば、夫婦が同一の用紙にそれぞれの財産の処分に関し別々に遺  言をする場合です。


2)2人以上の者が同一の証書を用いて相互に遺贈しあうこと等を定め  る場合。

  例えば、夫婦がお互いの死亡を条件に財産を遺贈するという遺言を  する場合です。


3)2人以上の者が同一の証書を用いて相互に相手の遺言条件としてい  る場合。

  例えば、夫の遺言が執行すれば妻の遺言も執行するというように相  手の遺言を条件としている場合です。

共同遺言禁止の理由

遺言は2人以上の者が同一の証書ですることができないとされてます。

したがって、上記1)〜3)の共同遺言が禁止されている理由としては次のものが考えられます。

1)遺言は本来遺言者の自由な意思に基づいてなされるものですが、共  同で行うことを認めると、相互に何らかの影響を受け自由な意思に  基づいて遺言をすることができなくなる危険性がある。



2)遺言者は自由に遺言を撤回することができますが、共同遺言をした  1人が撤回をすることが出来るのか、仮に撤回を認めた場合にどの  ように処理するのかについて問題が生じる。



3)共同遺言者の一方の遺言が方式を満たさないなど無効自由がある場  合に、他方の遺言は有効なのか否かについて問題が生じる。


4)共同の遺言がそれぞれの遺言を条件としている場合に、一方の遺言  者がその条件に反して財産を処分した場合、他方の遺言がどうなる  か問題になる。


共同遺言に当たるか否かが問題となる場合


1 夫婦それぞれが別々の証書に記載した場合

同一の証書で遺言を行うことが共同遺言の要件になりますので、それぞれが別々の証書を用いて作成した場合には、そもそも共同遺言には該当しません。


したがって、この場合はそれぞれの遺言が別々のものとして有効になります。


2 同一の証書に2人の遺言が記載されているが一方に方式違反がある  場合


同一の証書に2人の遺言がなされているが、そのうちの一方に氏名を自書していないという方式違反があった場合でも、禁止された共同遺言に該当するとの判例があります。

つまり、この場合は、方式違反がない他方の遺言についても有効な単独遺言として扱われないということになります。


3 共同遺言の形式があっても、実質的には単独遺言と評価できる場合


一見したところ共同遺言としての形式になっていても、その内容からすると単独の遺言と評価できるので有効であるとする判例があります。

これは、遺言の内容としては1人の財産の処分に関するものであり、その他のもう1人の部分は法律上の意味を持たないことから、実質的には単独遺言と評価することができることを理由としています。


4 別々の用紙に記載された遺言書が1通に綴られている場合


一通の証書に妻及び夫の遺言が記載されている場合であっても、両者が容易に切り離すことができる場合には共同遺言には該当しないとする判例があります。


5 独立した自筆証書遺言が同一の封筒に入れられている場合


この場合は、同一の証書に遺言がなされたわけではありませんから、共同遺言には該当せず有効になります。



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2008年08月13日

妻子と別居しており、世話になった姉と妹に相続させる遺言作成

今日の遺産相続相談


●相談者

私は、妻子と長年別居しており、近所に住む姉と妹に生活の面倒を見てもらっていましたので、妻子には相続させず、姉と妹に遺産を相続させたいと思います。


■アドバイス


相続権のない姉妹に遺産を承継させる方法について


兄弟姉妹は、被相続人に子供やその孫等の代襲相続人がなく、直系尊属(両親・祖父母)がいない場合に、初めて相続人となります。

したがって、妻子がいる被相続人の姉妹には、相続権はありません。

しかし、相続人でなくとも、遺言(遺言状)の効力発生時に生存していれば受遺者になることができるため、被相続人は、妻子がいても、相続人でない姉妹に遺贈により遺産を承継させることができます。


妻子の遺留分


ただし、遺贈には、遺留分に関する規定に違反することができないという制約があります。

妻子には、被相続人の財産の2分の1の遺留分があります。

したがって、妻子が遺留分減殺請求権を行使すれば、相続財産の2分の1は、妻子に移転します。

被相続人が、遺言(遺言状)の中で、遺産が形成された原因など妻子に相続させない趣旨に言及することも考えられますが、その記載に拘束力はなく、妻子の遺留分減殺請求権を奪うことはできません。

もっとも、遺留分減殺請求権は、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ってから1年以内に行使しないと時効により消滅しますし、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知らなくとも相続開始時から10年を経過したときも、消滅します。

したがって、この事例のような遺言(遺言状)であっても、妻子が遺留分減殺請求権を行使しなければ、被相続人の姉妹に遺産をすべて残すことができます。



本日の相談者における遺言のひな形はこちら


2008年08月11日

妻と妹に相続させ、弟に相続させない遺言作成

今日の遺産相続相談


●相談者

私には妻と兄弟(弟と妹)がいます。弟とは折り合いが悪く疎遠ですが、近所に住む妹とは長年助け合ってきたので、遺産は妻と妹にだけ相続させ、弟には相続させたくないと思います。


■アドバイス


遺言(遺言状)による相続分の指定について


妻と兄弟が相続人の場合、妻の法定相続分は4分の3、兄妹の相続分は4分の1で、兄弟が2人以上いる場合は、頭割りになります。

この共同相続人の相続分は、遺留分に関する規定に反することはできないという制約がありますが、被相続人は遺言(遺言状)で変更することができます。

そして、兄弟姉妹には遺留分がないので、この事例において、被相続人は折り合いの悪い弟に相続させないこともできます。


遺言(遺言状)で特定の遺産を特定相続人に相続させるについて


特定の遺産を特定相続人に「相続させる」趣旨の遺言(遺言状)によって不動産を取得した相続人は、単独で所有権移転登記手続ができ、また、その権利を登記なくして第三者に対抗できるという利点があります。



本日の相談者における遺言(遺言状)のひな形はこちら


2008年08月09日

兄弟には相続させず、妻に全ての財産を相続させる遺言の作成

今日の遺産相続相談

●相談者

私には妻と兄弟がいます。兄弟とは疎遠で数十年行き来がないので、妻に全ての遺産を相続させようと思います。


■アドバイス


妻と兄弟姉妹が相続人の場合の法定相続分について


遺言(遺言状)がなくても、妻は、法定相続分を相続することができます。

妻と兄弟が相続人の場合、妻の法定相続分は4分の3、兄妹の相続分は4分の1で、兄弟が2人以上いる場合は、頭割りになります。



遺言(遺言状)による相続分の指定について


この共同相続人の相続分は、遺言(遺言状)で変更することができますが、遺留分に関する規定に反することはできないという制約があります。

しかし、妻と兄弟姉妹が相続人の場合、兄弟姉妹には遺留分がないので、被相続人は、妻の相続分を増やすという方法をとることもできますし、この相談者のように妻に全ての遺産を相続させることもできます。


本日の相談者における遺言のひな形はこちら

2008年08月01日

兄弟よりも妻に多くの財産を相続させる遺言の作成

今日の遺産相続相談

●相談者

私には兄弟がいますが、それぞれ独立して生活をしているので、自分の死後一人暮らしになる妻に多くの遺産を相続させたいと思います。


■アドバイス



妻と兄弟姉妹が相続人の場合の法定相続分について


遺言(遺言状)がなくても、妻は、法定相続分を相続することができます。

この相談者の場合、妻と兄弟3人が相続人のケースです。

妻は、被相続人の遺産の4分の3、兄妹がそれぞれ12分の1を相続することになります。



遺言(遺言状)による相続分の指定について


この法定相続分は、被相続人が遺言(遺言状)で変更することができます。

しかし、遺留分に関する規定に反することはできないという制約がありますので注意してください。

妻と兄弟姉妹が相続人の場合、兄弟姉妹には遺留分がないので、被相続人は、妻にすべての遺産を相続させることもできます。



本日の相談者における遺言状のひな形はこちら

ラベル:遺言 相続

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