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2008年09月25日

在船者が作成する遺言の要件は?

■在船者遺言の要件

伝染病隔離者遺言と同様、在船中にある者は船舶中に公証人がいないと思われますので、遺言の作成に公証人の利用をすることが出来ず、公正証書遺言や秘密証書遺言を作成することが出来ません。


これに代わるものとして、在船者遺言が認められています。在船者が自筆証書遺言を作成することはもちろん可能です、


1 在船中に在る者であること


ここの「船舶」がいかなる船を指すかについては争いがあり、航海をする船舶のみを指し、そのほかの湖川航行の船舶等は含まないとする見解もありますが、通説は、湖川・港湾のみを航行する船舶も、容易に上陸して公正証書遺言や秘密証書遺言を作成することが困難な場合もあることから、航海する船舶に限定すべきでないとしています。また、在船中とは、航行中・碇泊中いずれも問いません。

在船中にあるものとは、乗務員・旅客・一時便乗した者いずれも含みます。



2 船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いがあること


事務員とは、船長以外の船舶職員すなわち航海士、機関長、機関士、通信長、通信士、及び国土交通省令の定めるその他の海員を指します。


国土交通省令の定めるその他の海員とは、運航士、事務長、事務員、医師、その他航海士・機関士又は通信士と同等の待遇を受ける者を指します。


3 遺言者が遺言書を作成すること

 
4 遺言関係者全員の署名押印があること


遺言者を含め遺言関係者全員の署名押印が必要な点は、船舶遭難者遺言と異なります。

署名押印が出来ない者がいるときは、その事由を付記しなければなりません。

なお、在船者遺言は、他の特別方法の遺言と同様に、遺言者が普通方式によって遺言をすることが出来るようになったときから6ヶ月間生存するときは、その効力が生じません。

ラベル:遺言 相続
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2008年09月12日

伝染病隔離者の遺言について

■伝染病隔離者遺言の要件

交通を断たれた所に在る者は、交通を断たれてしまっているため遺言の作成に公証人の利用をすることが出来ず、公正証書遺言(民969)や秘密証書遺言(民970)を作成することが出来ません。


これに代わるものとして、伝染病隔離者遺言(民977)が認められています。伝染病隔離者が自筆証書遺言を作成することはもちろん可能です。

1 行政処分によって交通を断たれた場所に在る者であること

条文では「伝染病のため」とありますが、伝染病に限らず、一般社会と自由に交通することが事実上又は法律上遮断されている場所にある場合も含まれると解されています。


2 警察官1人及び証人1人以上の立会いがあること

死亡危急者遺言では証人3人以上の立会いを要します(民976)が、交通を断たれた所に在る者は、証人の確保が困難であるため1人以上とされています。

警察官は、交通が断たれている場所にも出入りが比較的自由であるため立会人とされています。

警察官にいかなる者を含めるかについては争いがあり、通説は、警察官は巡査を含まない警部補以上としていますが、実際上の必要性から巡査を含むとする見解もあります。

また、警察官は正当な理由なくして立会いを拒絶することは出来ません。


3 遺言者が遺言書を作成すること
 

4 遺言関係者全員の署名押印があること

遺言者を含め遺言関係者(証人、立会人、筆者(「筆者」に関しては、遺言の代筆が可能かについてそもそも争いがあります))全員の署名押印が必要な点は、船舶遭難者遺言と異なります。

署名押印が出来ない者がいるときは、その事由を付記しなければなりません。


なお、伝染病隔離者遺言は、他の特別方法の遺言と同様に、遺言者が普通方式によって遺言をすることが出来るようになったときから6ヶ月間生存するときは、その効力が生じません。



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2008年09月06日

船舶遭難者が作成する遺言の要件は?

■船舶遭難者遺言の要件



船舶遭難者遺言は、船舶が遭難し死亡の危急に迫っている者には、公証証書遺言・秘密証書遺言はもちろん、死亡危急者遺言や在船者遺言いずれの方式によっても遺言をすることが困難であることから、上記の遺言方式よりも緩和された要件となっています。



1 船舶が遭難した場合において当該船舶中に在る者であること
    
2 死亡の危急に迫った者であること


死亡の危急に迫っていることを要し、死亡が現実に予想し得る程度や遺言者が危急を予想するだけでは足りません。


3 証人2人以上が立会うこと

死亡危急者遺言では証人3人以上の立会いが必要ですし、在船者遺言では船長又は事務員1人の立会いが必要ですが、船舶遭難の状況で立会いを求めることは困難であるため、必要とされていません。



4 遺言者が口頭で遺言をすること(口の利けない者の場合には通訳人の通訳により遺言をすること)

死亡危急者遺言では、口授を受けた者が筆記したものを遺言者及び他の証人に読み聞かせ又は閲覧させることが必要ですが、船舶遭難者遺言では、かかる手続は要件とされていません。

証人は、船舶遭難の状態が去ってから、遺言の趣旨を筆記すれば足りると考えられます。

また、以前は口頭で必ず遺言をすることが要件となっていましたが、平成11年法律149号の民法改正によって、口が利けない者は通訳人の通訳により遺言をすることが出来るようになりました。


5 証人が遺言の趣旨を筆記してそれに署名押印すること

証人全員の署名押印が必要となりますが、遺言者自信の署名押印は不要です。

署名押印が出来ない者がいるときは、その事由を付記しなければなりません。


6 家庭裁判所の確認を得ること

証人が筆記した証書について、家庭裁判所の確認を得ることが必要です。

家庭裁判所は、遺言の内容が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、確認をすることが出来ません。

確認審判を得た遺言も、検認手続が必要となります。

なお、船舶遭難者遺言は、他の特別方式の遺言と同様に、遺言者が普通方式(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)によって遺言をすることが出来るようになったときから6ヶ月間生存するときは、効力が生じません。




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posted by なり at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 遺言の基礎知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年09月02日

臨終の際に作成する遺言の要件

■一般危急時遺言の要件

入院加療中に病状が急変し重篤な状態になった場合、自筆証書遺言や公正証書遺言又は秘密証書遺言等の普通方式による遺言を作成している時間的な余裕がありません。

このような場合に備えて、法は一般危急時遺言という、特別方式の遺言を制度として定めており、緩和された要件となっています。

1 疾病その他の事由によって死亡の危急が迫っていること

死亡の危急が迫っているか否かについては、遺言者が主観的に自己に死亡の危急が迫っていると判断すれば足りると解されています。

もっとも単なる予想程度では足りません。

なお、遺言者が危急状態から脱して普通方式の遺言が出来るようになってから6ヶ月が経過した場合には、危急時遺言の効力は生じないとされています。

これは、本来遺言は厳格な要件のもとに作成されなければならないのが原則であり、例外である要件の緩和された特別方式による遺言の効力を存続させる必要はなく、むしろ普通方式によって遺言をすることが出来る状態になったのであれば、原則に戻るのが遺言者の真意を確保するという法の趣旨に沿うからです。


2 証人3人以上が立会うこと

証人の数が普通遺言の場合よりも多いのは、一方で要件を緩和しつつ、他方で遺言者の真意を確保するという最低限の要請を満たすためです。

3人程度であれば不可能を強いることにはならないと法は意図したものと思われます。

証人は欠格事由のない証人適格を有する者でなければなりません。

したがって、例えば証人3人の中に推定相続人が1人でもいる場合には、この要件を欠くことになり遺言は無効になります。

なお、証人全員が遺言の最初から終わりまで立会っている必要があります。


3 遺言者が証人の1人に対し遺言の趣旨を口授すること

口授とは、言葉を口で話して相手に伝えることを意味しますので、基本的には口授する能力が必要とされています。

もっとも、遺言者が口の利けない者の場合には、遺言者が証人の前で遺言の趣旨を通訳人の通訳によって申述して口授に代えることになります。


4 口授を受けた者がこれを筆記すること

筆記は、口授されたことと一文一句同じである必要はなく、口授の趣旨が筆記されていれば良いと解されています。

なお、筆記にはタイプライター、ワープロの利用が可能であり、筆記する場所は、口授とは違う場所でも良いと解されています。

筆記したものを加除・訂正する場合には、筆記者及び各証人が変更した旨を付記し、署名・押印をしなければなりません。


5 口授を受けた者が筆記したものを遺言者及び他の証人に読み聞かせ又は閲覧させること

遺言者又は証人が、耳が聞こえない者の場合には、筆記した内容を通訳人の通訳によって読み聞かせに代えることになります。


6 各証人がその筆記が正確なことを承認した後これに署名押印すること

証人全員が署名押印する必要がありますが、押印は認印で構いません。

遺言者本人の署名押印は不要です。日付は普通方式の遺言と異なり要件とされていませんので、記載する必要はありません。

なお、証人は「遺言者が生きている間に署名押印しなければならない」との古い判例がありますが、承認が筆記の正確なことを承認すれば、たとえ遺言者の死亡した後であっても、その場で署名押印がなされれば良いとする見解もあります。


一般危急時遺言は、遺言の日から20日以内に証人の1人又は利害関係人が家庭裁判所に請求して確認を得なければ効力が生じません。

これは、遺言が遺言者の真意に基づくものであるか否かを判断するためです。

遺言者の真意につき家庭裁判所が得るべき心証の程度は、確信の程度に及ぶ必要はなく、一応遺言者の真意に適うと判断される程度の緩和された心証で足りると解されています。

なお、管轄裁判所は、相続開始地及び遺言者の住所地の家庭裁判所になります。

■メモ用紙に走り書きされた遺言

突発的な事故の際に、走り書きしたメモが見つかることがありま。

このような、走り書きされたメモによる遺言の有効性が問題になります。

1 遺言者自身がメモを自筆した場合

自筆証書遺言として認められるのかが問題となります。

偶然にも印鑑を持っていて署名押印がなされているのであれば、自筆証書遺言として認められる可能性があります。


2 遺言者以外の者がメモを作成した場合

船舶遭難者遺言の規定を類推適用することが出来るかに関して争いがありますが、類推適用することが出来るとする見解もあります。

証人2人以上の立会いのもと口頭で遺言し、証人が遺言の趣旨を事故後に再度筆記して署名押印すれば、有効な遺言として認められる可能性があります。

なお、証人の中に署名又は押印をすることが出来ない者がいる場合には、署名押印できない事由を付記すれば良いとされています。



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posted by なり at 14:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 遺言の基礎知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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