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2008年10月24日

遺言を作成するときの証人や立会人

■証人・立会人の意義

自筆証書遺言を除く遺言には、証人又は立会人が必要です。

証人とは、遺言の作成に立会い、作成された遺言が遺言者の真意に出たものであることを証明する者であり、立会人とは、遺言作成の場に居合わせて、遺言の成立の事実を証明する者を言います。

証人は遺言の内容を知っていなければなりませんが、立会人は遺言の内容についてそれが真実であることを証明する責めを負わされることはありません。

証人・立会人は、遺言の作成を証明する人であり遺言作成に関し重要な地位にあるため、それに適した能力を持ち、利害関係を有しない者でなければならないとされています。



■証人・立会人の法定の欠格事由

  民法は、
 @未成年者
 A推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
 B公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

 は、証人・立会人になることは出来ないとしています。



1 未成年者

未成年者は十分な意思能力を有さないため、証人・立会人の欠格者とされています。

未成年者は、法定代理人の同意があっても証人・立会人となることが出来ません。
   
2 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族


推定相続人や受遺者は直接的に、推定相続人・受遺者の配偶者・直系血族は間接的に、遺言の内容に関し強い利害関係を有することから欠格者とされています。


推定相続人とは遺言作成時に第一順位の相続人をいい、受遺者とはその作成された遺言によって遺贈を受ける者を言います。

それゆえ、遺言者に子や妻がいる場合、兄弟は証人となることが出来ます。

仮に、遺言作成後に遺言者より前に遺言者の妻子が死亡し、兄弟がその時点で推定相続人になったとしても、妻子生存時に作成された遺言の効力には影響がありません。


また、配偶者には推定相続人の配偶者も含みます。

推定相続人の配偶者も受遺者の配偶者と同様に、強い利害関係を有することや条文の規定の仕方からすれば妥当と考えます。


したがって、遺言者の兄弟も第一順位の相続人でなければ証人・立会人となれますが、推定相続人である子の配偶者は証人・立会人になることは出来ません。


ところで、秘密証書遺言については、遺言の内容や受遺者を知っているのは遺言者のみであり、これに立会う証人は、遺言書が封じられていることを知るに過ぎないため実質的には立会人と言えます。

その場合、遺言の内容を知らないため、秘密証書遺言では推定相続人や受遺者も証人・立会人となることも出来ると考えられていますが、判例は秘密証書遺言でも、受遺者は証人・立会人になれないとしています。


3 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

公証人の配偶者や四親等内の親族、書記及び使用人は関係者であって、遺言者に影響を与えるおそれがあるため欠格者とされています。

ここでいう公証人は、当該遺言の作成に携わる公証人を指します。




■証人・立会人の事実上の欠格事由

法律上欠格者として挙げられていない者についても証人・立会人となることに適さない者は、いわゆる事実上の欠格者として、証人・立会人になることが出来ません。


1 署名することが出来ない者

証人は署名が必要であるため、これが出来ない者は証人・立会人となれません。


2 遺言者の口授を理解できない者

証人は、死亡危急者遺言では遺言者の口授の筆記を、船舶遭難者遺言では遺言の趣旨の筆記を、それぞれ課せられています。

筆記を行うのは証人のうち1人ですが、証人全員が遺言の口授の内容を理解できなければ実効性がないため、証人・立会人は遺言者の口授を理解できる者でなければなりません。


3 筆記の正確なことを承認する能力のない者

証人は、公正証書遺言や死亡危急者遺言において筆記の正確なことを承認した後、署名押印することが求められており、筆記の正確なことを承認する能力のある者でなければなりません。

もっとも、判例は「目の見えない者は人違いがないこと及び遺言者が真意に基づき遺言の趣旨を口授することを確認する能力を欠いている者ではない」などとして、民法所定の欠格者でも、事実上の欠格者でもないとしています。



4 口の利けない者

死亡危急者遺言では、証人のうち1人が遺言の趣旨を口授して、遺言者及び他の証人に口授しなければならないため、口の利けない者は事実上の欠格者となるという見解もありますが、死亡危急者遺言の読み聞かせを行う証人以外にはなれるとする見解もあります。

しかし、口の利けない者については、平成11年の民法改正により口の利けない者であっても通訳人の通訳により遺言の内容を確認することが出来ることとなったため、事実上の欠格者にならないのではないかと思われます。


5 法定代理人(親権者・成年後見人)・保佐人


法定代理人は、未成年者や成年被後見人の財産管理権を有するため、また、保佐人も同意権等財産に対し関与するため、未成年者・成年被後見人・被保佐人の遺言に影響を与えるおそれがあるため証人となり得ないとする見解と、民法974条が制限的列挙の規定であることから欠格者とならないとする見解があります。

争いがあることからすると、出来る限り法定代理人を証人・立会人とすることは避けた方が良いと考えます。



6 遺言執行者

判例は、利害関係を有する者でなければ証人となることが出来るとしています。




■欠格者が立会って作成された遺言の効力

証人又は立会人の欠格者が立会って作成された遺言は、方式を欠くものとして遺言全体が無効になるのが原則と考えます。

もっとも、「遺言公正証書の作成に当たり民法所定の証人が立会っている以上、たまたま当該遺言の証人となることが出来ない者が同席していたとしても、この者によって遺言の内容が左右されたり、遺言者が自己の真意に基づいて遺言をすることを妨げられたりするなど、特段の事情のない限り当該遺言公正証書の作成手続を違法で無効であるということは出来ない」とする判例があります。
posted by なり at 10:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 遺言の基礎知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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