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2008年07月11日

自分の世話をしてくれた独身の子どもに多くの財産を相続させる遺言書作成

今日の遺産相続相談

●相談者

私には長男一郎と長女春子の2人の子どもがいます。妻花子は既に死亡しています。長男一郎は結婚し、独立しています。長女春子は今も独身で、私と同居し、献身的に私を介護してくれています。一方、長男一郎には世話になったことはありません。私としては、私の面倒をよく見てくれている春子にできる限り多くの遺産を相続させたいと思います。


■アドバイス



相続分の指定と遺留分について


今回の相談者は、相続人は子2人のみですので、各相続人の法定相続分によれば2分の1となりますが、それと異なる相続分の指定をすることもできます。この件では、長女春子の相続分を長男一郎の相続分より多く定めることになります。

なお、特定の相続人に、より多くの遺産を残す方法としては、上記のように相続分を指定する方法のほか、相続する遺産を指定する方法もあります。


遺留分への配慮


被相続人は、遺言(遺言状)において遺留分に関する規定に反することができず、遺言(遺言状)で遺留分を排除することはできません。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められ、直系尊属のみが相続人である場合は、被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合には、被相続人の財産の2分の1に相当する額が遺留分となります。

この事例の場合、被相続人の財産の2分の1に2人の子各人の相続分である2分の1を乗じた4分の1が各相続人の遺留分となります。

遺言(遺言状)の内容が上記の遺留分を侵害する場合、遺留分を侵害された相続人は、当該侵害分の遺産を受領する相続人に対し、遺留分減殺請求を行うことができます。

このように、遺留分は、遺言(遺言状)でも排除することができないため、特定の相続人にのみ、より多くの遺産を相続させる場合には、遺留分を巡る紛争が発生しないよう工夫をする必要があります。


相続分の指定についての理由いついて


長女がより多くの遺産を相続することについて、相続人間で紛争にならないよう理由を付記しておくことも後々のトブルを防止するための1つの方法になります。



寄与分について


寄与分は、共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により、被相続人の遺産の維持又は増加について特別の寄与をした者に認められるものです。

その場合は、共同相続人の協議で決定されますが、協議が整わないとき又は協議をすることができないときは、寄与者が家庭裁判所に請求を行い、家庭裁判所が、寄与の時期、方法、程度、相続財産の額、その他一切の事情を考慮して寄与分を定めます。

寄与分のある相続人がいる場合、相続開始時の被相続人の遺産の価格から寄与分を控除したものが相続財産とみなされます。

そして、その遺産についての相続分に寄与分を加えた額が、寄与者の相続分となります。

例えば、この事例で被相続人の死亡時の遺産が4,000万円であると仮定した場合、まず4,000万円から春子の寄与分12,00万円(4,000万円の3割)を控除した2,800万円が相続財産となります。

そして、長女春子については、相続財産2,800万円の4分の3である2,100万円に、寄与分1,200万円を加えた3,300万円がその相続分となります。

しかし、遺言(遺言状)で寄与分を定めることができる旨の民法上の規定はなく、上記のようにあくまで共同相続人間の協議か家庭裁判所での調停又は審判で決定されることになります。

また、実際には、共同相続人間の協議で特定の相続人に寄与分を認めることは容易ではなく、家庭裁判所の審判による場合でも、「特別の」寄与があったことが認定されなければ寄与分は認められません。

そこで、遺言(遺言状)でその相続人に寄与分を認めるべき具体的な事情の説明、寄与分割合等を明記し、相続人に対しそれに従うよう依頼するとともに、審判における寄与分の認定のための重要な証拠として、病状、療養期間、長女の介護の状況を事細かに記した書面を残すなどしておくことが必要であると考えます。






本日の相談者における遺言書のひな形はこちら


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