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2008年07月09日

多額の援助をしてある子どもにも、他の子と同じように相続させる遺言の作成

今日の遺産相続相談

●相談者


私には、長男一郎、二男次郎、三男三郎の3人の子どもがいます。妻とは5年前に離婚し、現在配偶者はいません。長男は私の事業を継ぎましたが、その際、長男に対し、事業用の土地と建物を贈与しました。一方で、二男、三男に対しては、そのような贈与はしていません。私の死後、相続の際、子ども達がそのことで争い始めないか心配です。私としては、長男が私の死後も無事に事業を継続していけるよう、長男にも、二男、三男と同じように財産を相続させたいと思います。


■アドバイス



特別受益の持戻しについて


この件では、相続人は子3人ですので、各相続人の法定相続分はそれぞれ3分の1となります。

しかし、共同相続人の中に被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者(特別受益を受けた者)があるときは、被相続人の相続開始時の遺産の価額にその贈与の価額を加えたものが相続財産とみなされ、特別受益を受けた者の相続分は、その相続財産を基礎に算定した相続分の中から遺贈、贈与の価額を控除した残額とされます。

遺贈、贈与の価額が、相続分の価額と等しいか、又は相続分を超えてしまうときは、受遺者、受贈者は、相続分を受領することはできません。

この件では、遺言者は、長男に対して事業用不動産を贈与しており、これは生計の資本としての贈与を受けた場合として特別受益に当たります。

そこで、遺言者の死亡時の財産が8,100万円であり、遺言者から長男一郎に贈与された事業用不動産が1,500万円と評価されると仮定した場合、8,100万円に1,500万円を加えた9,600万円が相続財産となります。

この場合、二男次郎、三男三郎の相続分はそれぞれ9,600万円の3分の1である3,200万円となりますが、長男一郎は特別受益1,500万円がありますので、それを差し引いた残り1,700万円が長男一郎の相続分となります。

しかし、遺言者は、長男一郎に対し、ほかの子供と等しく相続させたいと希望しています。この場合には、遺言(遺言状)に記載する特別受益の持戻し免除の意思表示をします。


特別受益の持戻しの免除について


相続人が民法の定める特別受益の持戻しの規定と異なった意思を表示した時は、その意思表示は、遺留分に関する規定に反しない範囲内でその効力を有するものとされています。

この意思表示を特別受益の持戻しの免除の意思表示といいます。この事例で、被相続人の死亡時の財産を8,100万円と仮定すると、長男一郎は、二郎、三郎と等しく、その3分の1である2,700万円の相続分が認められることになります。


特別受益の持戻しの免除の意思表示には特別の方式はないので、遺言(遺言状)上に特別受益の持戻しの免除が明確に記載されていない場合でも、様々な事情を考慮した上で特別受益の持戻しを免除する趣旨と解される可能性もあります。

しかし、解釈を巡って相続人間で争いが発生するのを避けるためにも、持戻し免除の意思を明確に記しておくことをお薦めします。


特別受益の持戻しの免除について


長男一郎の特別受益の持戻し免除について、相続人間で紛争にならないよう、長男一郎の特別受益の内容と、その持戻しの免除の理由について、具体的に付記しておくことも1つの方法になります。





本日の相談者における遺言書のひな形はこちら

posted by なり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 子供への相続相談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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