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2008年07月08日

多額の債務がある子どもに財産を相続させない遺言の作成

今日の遺産相続相談

●相談者

私は、長男から、長男が経営する飲食店の経営に必要な資金としてたびたび借金を頼まれ、長男に対し総額1,500万円を貸しました。しかし、今まで1回も返済を受けていません。そこで、長男には何も相続させず、長男以外の2人の子どもと妻にのみ財産を相続させたいと思います。


■アドバイス



相続分の指定について


今回の相談者は相続人は妻及び子3人ですので、各相続人の法定相続分は妻が相続財産の2分の1、3人の子供はそれぞれ6分の1となりますが、それと異なる相続分の指定をすることもできます。この例では、長男一郎の相続分を無しとしています。

遺留分への配慮について


被相続人は、遺留分に関する規定に反することができず、遺言(遺言状)で遺留分を排除することはできません。

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に認められ、直系尊属のみが相続人である場合は、被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合には、被相続人の遺産の2分の1に相当する額を、遺留分として受けることができます。この件の場合、妻と子供が相続人ですから、長男一郎の遺留分は、被相続人の財産の2分の1に3人の子各人の相続分である6分の1を乗じた12分の1となります。

遺言(遺言状)では長男一郎の相続分をゼロと定めているので、このままでは遺留分侵害となる可能性があります。

しかし、この事例では、長男一郎に対し貸付金の返済を免除しているので、これを特別受益として持戻しした上で遺留分を計算するべきと考えられます。

相続人に対する債務の免除について


共同相続人の中に被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者(特別受益を受けた者)があるときは、被相続人の相続開始時の財産の価額にその贈与の価額を加えたものが相続財産とみなされ、特別受益を受けた者の相続分は、その相続財産を基礎に算定した相続分の中から遺贈、贈与の価額を控除した残額とされます。

遺贈、贈与の価額が、相続分の価額と等しいか、又は相続分を超えてしまうときは、受遺者、受贈者は、相続分を受領することはできません

長男の事業のために貸与した1,500万円の免除を行った場合、これは生計の資本としての贈与を受けた場合であり、特別受益に当たると考えることができます。そこで、遺言者の死亡時の相続財産が3,300万円であると仮定した場合、3,300万円に1,500万円を加えた4,800万円が相続財産となります。長男一郎の相続分は本来4,800万円の6分の1である800万円ですが、特別受益1,500万円はその額を超えています。

したがって、この場合、長男一郎は相続分を受けることができず、遺留分減殺請求も認められないということになります。

特定の相続人の相続分を法定相続分より少なく指定した場合、その者が特別受益を受けた者であったとしても、相続時の遺言者の遺産や特別受益の額によってはその相続人から他の相続人に対し遺留分減殺請求が行われる可能性がありますから、遺留分をあらかじめ概算するなどして確認しておくとをお薦めします。


相続分の指定に理由について


長男一郎の相続分をゼロとすることについて、相続人間で紛争にならないよう、その理由について、具体的に付記しておくことが良いでしょう。





本日の相談者における遺言書のひな形はこちら






posted by なり at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 子供への相続相談 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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