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2008年11月11日

日付の記載方法は?

■日付の意義


自筆証書遺言をするには、遺言者が遺言の全文、日付及び指名を自書し、押印をしなければなりません。

遺言は、要式行為であるため、日付の自書を欠く遺言は無効となります。

遺言書において日付は、

1)遺言者は遺言能力を要するところ、日付は遺言能力の有無の判断の基準となる点

2)前の遺言と後の遺言が互いに抵触する場合、後の遺言が有効となるところ、日付はその基準となる点において意義を有しています。


■記載すべき日付


通常、遺言書の日付は遺言書の全文が記載された日が記載されますが、これについては必ずしも厳格にする必要はないと思われます。

判例は、11月5日午後9時頃に全文を記載したものの、重態で疲労が甚だしいため翌6日午後2時頃に「5日」と記載した事案についても遺言を無効とすべきではないとし、また、遺言者が遺言書の日付以外の全文を記載された日に成立した遺言として適法としています。

もっとも、遺言の厳格な要式行為性に鑑みれば、特段の事情のない限り遺言書を1日で作成し、その作成日を日付とするのが無難です。



■効力が問題となる日付


日付は本来「年・月・日」によって記載されるのが原則ですが、これを備えていない場合、遺言書が有効となるかが問題となります。遺言の要式行為性と遺言者の意思の、どちらをどれだけ尊重するかという観点から検討されることになります。

   
1 日の記載を欠く日付

「平成〇〇年〇月」「平成〇〇年〇月吉日」といった日付は、具体的な日付がないため有効となるかが問題となります。

判例は「大正5年1月」と記載された遺言について、日付のあることは自筆証書遺言の要件であって日付のない遺言は無効としています。

これに対して、年月の記載だけでも遺言者の遺言能力の判断は可能であること、遺言者の意思を尊重すべきという点を理由として遺言を有効とすべきとの見解もありますが、通説は日付を欠く遺言を無効とすべきであるとしています。

また、「平成〇〇年〇月吉日」との記載のある、いわゆる吉日遺言も暦上の特定の日を表示するものとは言えないとして、無効であるとされています。


2 一見明らかとならない日付の場合


日付は通常「年・月・日」を記載しますが、必ずしも暦日を記載する必要はなく、日の特定が可能であれば日付の趣旨を達成することができ、有効であると考えられます。

判例として、「40年8月4日」との記載を明治40年8月4日の日付として有効としたものや、封筒の裏面に数字を縦書きでの記載を昭和26年3月19日の日付として有効としたものがあります。

学説も、「還暦の日」「〇〇の誕生日」「平成〇〇年春分の日」といった記載も、日の特定が可能なものとして有効と考えています。よって、日付を「妻の誕生日」とした記載も有効であると考えます。


3 複数の日付が記載されている場合

学説は、複数の日付が記載された遺言について有効と解していますが、「反証のない限り、後の日付に完結せられた遺言として取り扱うべき」とする説と、「遺言の内容等に照らし、いずれかが真正な日と解されるときは、その真正の日付をもって遺言書の日付とすべき」とする説があります。

判例は、第1葉末尾には昭和46年10月18日、第2〜4葉末尾に昭和47年11月10日と記載されている遺言書について「両者は全体として1個の遺言を形成しているものというべく、この場合、本件遺言の日付は、特段の反証のない本件においては、後の日付である昭和47年11月10日であると認めるべきである」としたものがあります。


4 真実の遺言作成日と異なる日付が記載されている場合


故意に、真実に反する日付を記載した場合は、遺言の要式行為性に反するものとして無効というべきです。

誤記の場合は、その取り扱いが問題となります。判例は、昭和48年秋に死亡した者が同年夏入院中に、知人の弁護士から勧められて昭和48年8月27日に作成した遺言書を「昭和28年8月27日」とした事例について「自筆証書遺言に記載された日付が真実の日付と相違しても、その誤記であること及び真実の作成の日が遺言証書の記載その他から容易に判明する場合には、日付の誤りは遺言を無効ならしめるものではない」とし、錯誤であること及び真実の作成の日が容易に判明する場合は有効となるとしたものがあります。

!まとめ

遺言書の要式行為性からすると、

◎日付は必ず記載すること

◎遺言書は1日で作成し遺言書を作成した日付を誤りなく記載すること

◎日付は後日紛争とならないように「年・月・日」を1つだけ記載することといったことを、確実に守ることが後日の紛争を回避するために重要となります。

posted by なり at 15:08| Comment(0) | TrackBack(1) | 遺言の基礎知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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