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2008年11月27日

身体に障害がある者が遺言を作成するときは?

■口が利けない者の遺言の作成


1 自筆証書遺言の作成


口が利けない者が、自筆証書遺言を作成することは問題ありません。


2 公正証書遺言の作成


公正証書遺言は、公証人が関与することで、公証人から記載の仕方等について指摘を受けることが出来るため無効となるおそれが低い点、公証役場に原本が保管されるために紛失のおそれがない点、検認手続が不要となる点といったメリットの多い遺言です。

しかしながら、平成11年法律149号改正前の民法では、公正証書遺言を作成するには遺言者による遺言の趣旨の「口授」「口述」が必要とされていたため、口が利けない者は公正証書遺言をすることが出来ず、上記メリットを享受出来ないとされてきました。

そこで、平成11年法律149号改正民法では、「口授」に代えて遺言の趣旨を通訳人の通訳又は自書をすることで、公正証書遺言を作成することが出来るようになりました。

この場合、公証人は通訳人の通訳又は自書によったことを公正証書遺言に記載しなければなりません。

「口が利けない者」とは、身体的な言語機能障害者のみならず、聴覚障害や老齢等のために発話が困難で、公証人や証人等の発話内容の聴取が困難な場合や、一時的な言語機能障害も含むと考えられます。

また、「通訳人の通訳」とは手話通訳のみならず、読話、解読、指点字による方法など様々な方法が可能なものと考えられます。


3 秘密証書遺言の作成

秘密証書遺言は、平成11年法律149号改正前の民法でも、自己の遺言書である旨及び遺言者の氏名・住所を自書して「申述」に代えることが出来るとされていましたが、平成11年法律149号改正民法により、自書に加えて通訳人の通訳により申述に代えることが出来るようになり、両者を選択出来るようになりました。


4 特別方式による遺言の作成

死亡危急者遺言でも、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述することで、口授に代えることが出来るようになりました。

また、船舶遭難者遺言でも、通訳人の通訳により遺言をすることが出来るようになりました。


■耳が聞こえない者の遺言の作成

1 自筆証書遺言の作成

耳が聞こえない者が、自筆証書遺言を作成することは問題ありません。

2 公正証書遺言の作成

公正証書遺言は、前掲■口が利けない者の遺言の作成 2でも述べたようにメリットの多い遺言です。

しかしながら、平成11年法律149号改正前の民法では、公正証書遺言を作成するには遺言者の「読み聞かせ」が必要とされていたため、耳が聞こえない者は公正証書遺言をすることが出来ず、上記メリットを享受出来ないとされてきました。

そこで、平成11年法律149号改正民法では、「読み聞かせ又は閲覧」させることとし、閲覧によっても公正証書遺言の作成が可能となった上、耳の聞こえない者は通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて「読み聞かせ」に代えることが出来るようになりました。

この場合、公証人は通訳人の通訳によったことを公正証書遺言に記載しなければなりません。

「耳が聞こえない者」とは、身体的な聴覚機能障害者のみならず、一時的な聴覚機能障害も含むと考えられます。また、「通訳人の通訳」とは手話通訳のみならず、様々な方法が可能なものと考えられます。

3 秘密証書遺言の作成

耳が聞こえない者が秘密証書遺言を作成することは、自己の遺言書である旨及び遺言者の氏名・住所を自書して「申述」することが出来れば可能なものと考えます。

しかし、出来ない場合には「口が利けない者」と同様の問題になるものと思われます。

4 特別方式による遺言の作成

死亡危急者遺言でも、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせるか、又は閲覧させることが出来るようになり、さらに、耳の聞こえない者については、筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者に伝えて「読み聞かせ」に代えることが出来るようになりました。

すなわち、耳の聞こえない者に関しては、筆記した内容を閲覧の方法によるか通訳人の通訳によることが出来るようになりました。


■目が見えない者の遺言の作成

1 自筆証書遺言の作成

自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付及び指名を自書しなければなりません。

その趣旨は、その筆跡によって遺言者本人が作成した遺言書であると確認する点にあります。

そのため、点字やパソコン等による遺言書は、遺言者本人が作成したものであっても、筆跡によって遺言者本人が作成したものか検証することが出来ないため無効であると考えます。

そのため目の見えない者は、全文、日付、氏名を自書できるような場合を除いて、自筆証書遺言の作成は出来得ないと言えます。

2 公正証書遺言の作成

公正証書遺言の作成には、遺言者が公証人の作成した遺言書の筆記の内容が正確なことを承認することが求められているため、目の見えない者は公正証書遺言が出来ないようにも思われますが、判例は目の見えない者も公正証書遺言の証人となることが出来るとしていること、公証人は遺言者の口授を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせており、筆記が遺言者の口授と一致しているかは目に見えない者でも検証可能であることからすると、目の見えない者でも公正証書遺言は出来るものと言えます。

また、目の見えない者が遺言書に署名できない場合、公証人がその事由を遺言書に付記して署名に代えることが出来ます。


3 秘密証書遺言の作成

秘密証書遺言は、遺言書本文を自書することが要件となっておらず、求められているのは遺言書本文及び封紙への自書であることからすると、遺言者において自署することが可能であれば、遺言書本文は点字であっても問題ないと言えます。



posted by なり at 13:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 遺言の基礎知識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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