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2009年08月21日

遺言できる事項は?

遺言には、遺言者の意思を書くのは自由ですが、遺言書に書いてあることのすべてが、相続人に対する強制力を持つことになるわけではありません。

遺言として強制力がある事項、つまり法律的な効力が生じる事項は、民法、その他の法律で限定されており、これを「法定遺言事項」と言います。現在、法定遺言事項として規定があるのは、おおよそ以下の事項どおりです。

1 相続に関する事項

@推定相続人の廃除とその取消し
A相続分の指定又は指定の委託
B特別受益者の相続分に関する指定
C遺産分割方法の指定又はその委託
D遺産分割の禁止
E共同相続人間の担保責任の定め
F遺贈の減殺方法の指定



2 財産処分に関する事項

@包括遺贈及び特定遺贈
A寄附行為
B信託の設定

3 身分に関する事項

@認知
A未成年後見人の指定、未成年後見監督人の指定

4 遺言執行に関する事項

遺言執行者の指定又はその委託

5 その他

祭祀承継者の指定


■生前行為でも出来る事項

「法定遺言事項」は、裏を返せば遺言書の中で明確に取り決めておく必要のある事項とも言えますが、一部生前に自ら行っておくことができる事項もあります。

 具体的には「法定遺言事項」のうち、
・推定相続人の廃除とその取消し
・認知
・寄附行為
・信託の設定
・特別受益者の相続分に関する指定
・祭祀承継者の指定
については、生前に行っておくことが可能です。


■遺言の対象となる「財産」

相続・遺贈の対象となるのは、被相続人ないし遺言者の財産です。
ここに言う「財産」は、その被相続人ないし遺言者個人の財産です。
会社は、いかなる会社であっても「法人」として個人とは別個の権利主体である以上、個人会社の代表取締役であったとしても会社の財産の処分について、遺言で定めることはできません。
もし記載をしても、その部分については遺言として無効となります。



■遺言書の中の法定遺言事項以外の記載

遺言書に記載された、「生命保険金受取人の変更」を有効なものとして認めた判例があります。
この判例は、そもそも保険金受取人の変更という行為が保険契約者の一方的意思表示によって効力が生じるとされていると言うことから、遺言の効力は遺言者の死亡によって生ずるものの、意思表示自体は生前に行われているのであり、死亡までに受取人変更権が行使されていると解されると判断したものです。

一方、遺言書の中に、例えば「葬儀は簡素に行うこと」「遺体の臓器は医療機関に提供すること」と言うことが記載されていることもありますが、このような記載については、遺言者の意向として明らかでも上記のような事情もないので、原則どおり法的な強制力はないことになります。
法定遺言事項以外の事項の実現を望むのであれば、生前から家族などと良く話し合って理解を得ておくことが大切と言うことになります。
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2009年07月05日

日本にいる外国人が遺言書を作成するときは?

■適用される法律(遺言の準拠法)の問題

日本に居る外国人が遺言をする場合、どの国(又は地方)の法律が適用されるのかという問題(準拠法の問題)を考慮する必要があります。

遺言をめぐっては、
@遺言書の作成方法(方式)についての準拠法
A遺言しようとする法律行為(遺贈や認知などの遺言内容)についての準拠法
B遺言の成立及び効力についての準拠法
を、それぞれ考える必要があります。
   
1 遺言書の作成方式についての準拠法
   「遺言の方式の準拠法に関する法律」2条に定めるところにより、
  @行為地法(遺言をする国・地方の法律)
  A遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法律
  B遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法律
  C遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法律
  D不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法
  いずれかの法律に適合した方法で作成すれば有効とされます(遺言準拠2)。

   したがって、在日外国人であれば「国籍を有している国の法律(本国法)による方式」でも、「行為地法ないし常居所法として日本の法律(民968以下)による方式」でも、有効な遺言を作成することが出来ます。

2 遺言しようとする法律行為についての準拠法

 遺言の内容についての問題は、「法の適用に関する通則法」が定めるところによります。相続については、被相続人の本国法に従うものとされている一方(法通則36)、例えば、認知による親子関係の成立については、認知の当時の子の本国法が定める要件を満たすことも必要とされています(法通則29)。「本国法」とは、その者が国籍を有する国であり、2つ以上の国籍を有する場合は常居所を有している国ということになります(法通則38@)。

 したがって、日本に住んでいて日本の方式で遺言書を作成したとしても、相続については、原則として国籍を有する本国法に従う必要があるということになります。

ただし、英米法国では相続財産を不動産と動産に分け、前者は不動産所在地法、後者は被相続人の住所地法を準拠法としています(相続分割主義)。例えば、遺産となる不動産を当該法制の国に所有している場合には、その不動産をめぐる手続の準拠法は事実上その国の規定による必要が生じるので注意が必要です。

3 遺言能力や遺言の意思表示の瑕疵などの成立及び効力についての準拠法

 遺言当時の遺言者の本国法によって定められることになります(法通則37)。遺言の成立とは、遺言能力・遺言者の意思表示の瑕疵など、効力とは、遺言の効力の発生時期・条件・取消しの可否などを指します。

 なお、遺言者の年齢、国籍その他の人的資格、及び証人の資格による遺言の方式の制限は、「遺言の方式の準拠法に関する法律」に言う「方式」に含まれるものとされているため(遺言準拠5)、上記1に挙げた準拠法により有効性が判断されることとなります。

4 反致

 日本の「法の適用に関する通則法」で「本国法による」として、日本法以外の法を適用するとしているところ、その本国法が遺言の準拠法を行為地(遺言地)法と定めている場合には反致の問題となります。日本法は反致を認めているため(法通則41)、このときは日本法が準拠法となることになります。


■日本法に方式による自筆証書遺言の作成
  
 遺言は、本国法・日本民法、不動産に関する遺言であれば、その不動産の所在地法等、いずれの方式によることも出来ます。

 日本民法には、遺言に用いる言語に制限はないので、日本法の方式で外国語で遺言を作成することも可能です。また、押印については実印による必要はなく、拇印又は指印でも良いと解されています。

 過去の判例には、遺言者が日常的にタイプライター等を使用して自筆の文書を作成する習慣がない場合に、遺言者本人がタイプして作成したこと、及び遺言が遺言者の真意に出たものであることが何らかの方法で証明されれば、タイプライター等を使用して作成されたものであっても日本法による自筆証書遺言として有効としたものもありますが、これは極例外的なケースであり、「自筆」つまり手書きであることは外国語で作成する場合でも必要な要件とされています。


■日本法の方式による公正証書遺言・秘密証書遺言の作成
  

1 言語と押印について
   民法上、自筆証書遺言や秘密証書遺言では使用言語についての規定はないため、外国語で遺言することも可能です。

 また、印鑑がない場合には署名に加えて拇印又は指印で代えることも出来るとされています。

2 身元の確認方法

 本人の確認には、印鑑登録証明書による他、遺言書の本国政府発行の旅券、又は市町村長発行の外国人登録証の提示など、他の確実な方法によることが出来ます(公証28A)。

3 外国語での「口授」

 公正証書遺言は日本語で作成されるため(公証27)、遺言者が日本語を解さない場合には、通事の通訳のもとに作成します。

 「口授」の要件を満たすためには、通事が遺言者の口頭で意思表明を通訳して公証人に伝え、また公証人の読み聞かせ等を通訳して遺言者に伝えることが必要であり、遺言という行為の重大性や遺言者の意思尊重の必要性からすれば、その外国人が日常的な日本語を解する能力があっても、なお適切な通事の通訳(公証29)を介して母国語によって遺言をさせるべき、と解されています。

4 証人の立会い

 証人の資格による遺言の方式の制限は、「遺言の方式の準拠法に関する法律」にいう「方式」に含まれるものとされているため(遺言準拠5)、

■適用される法律(遺言の準拠法)の問題の1に挙げた準拠法により、有効性が判断されることとなります。日本民法では、974条に定める証人適格者であれば外国人もなることが出来ますが、証人には遺言者が口授した内容が正確に筆記されたことを証明する役割を担うので、遺言者の述べた内容を理解出来ていなければ、証人立会いの要件が満たされたことにはなりません。

■遺言執行者の指定等について
  
 遺言執行者の指定、選任及び権限については、相続の準拠法である本国法(民1006@)が適用されます(法通則36)。

 英米法国では不動産の相続は、その所在地の法律に従って相続されるのが原則とされており、さらに英米法国では遺言の執行に関して遺言執行者を専ら司法機関の選任によるものとして、裁判所の監督の下で遺産管理・清算を行わせる方正が採られています。したがって、遺言者が日本以外の国に財産を有している場合には、遺言で指定された遺言執行者でも、裁判所の選任手続を経る必要が生じるなど、その財産の執行は、その国の制度に従って行われることになります。
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2009年04月17日

外国にいる日本人が遺言書を作成するときは?

■適用される法律(遺言の準拠法)の問題

外国に居る日本人が遺言をする場合、どの国(又は地方)の法律が適用されるのかという問題(準拠法の問題)を考慮する必要があります。

遺言をめぐっては、

@遺言書の作成方法(方式)についての準拠法
A遺言しようとする法律行為(遺贈や認知などの遺言内容)についての準拠法
B遺言の成立及び効力についての準拠法
を、それぞれ考える必要があります。
   
1 遺言書の作成方式についての準拠法

「遺言の方式の準拠法に関する法律」2条に定めるところにより、

  @行為地法(遺言をする国・地方の法律)
  A遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法律
  B遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法律
  C遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法律
  D不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法
  いずれかの法律に適合した方法で作成すれば有効とされます。

したがって、日本人であれば「日本の法律(民968以下)で決められた方式」でも、「遺言書を作成するときに在住している国の法律で決められた方式」でも、有効な遺言を作成することが出来ます。



2 遺言しようとする法律行為についての準拠法

遺言の内容についての問題は、「法の適用に関する通則法」が定めるところによります。

相続については、被相続人の本国法に従うものとされている一方(法通則36)、例えば、認知による親子関係の成立については、認知の当時の子の本国法が定める要件を満たすことも必要とされています(法通則29)。

「本国法」とは、その者が国籍を有する国であり、2つ以上の国籍を有する場合は常居所を有している国ということになります。

なお、日本法を含む多くの国では、相続については上記のように被相続人の本国法を準拠法としています(相続統一主義)が、英米法国では相続財産を不動産と動産に分け、前者は不動産所在地法、後者は被相続人の住所地法を準拠法としています。

例えば、遺産となる不動産がアメリカ・カリフォルニア州にある場合には、被相続人が日本人であっても、その不動産をめぐる手続の準拠法は事実上カリフォルニア州となり、検認の要件・効果や遺言執行等はカリフォルニア州法の規定による必要が生じます。

したがって、外国に遺産となる不動産を所有しているような場合には、遺言作成時に現地の国際私法や遺言法等も検討すべきでしょう。


3 遺言能力や遺言の意思表示の瑕疵などの成立及び効力についての準拠法

日本人の遺言が外国法で定める方式でなされても、遺言の成立及び効力が問題となって日本国内で争われる場合には、遺言当時の遺言者の本国法である日本法で判断されることになります(法通則37)。

遺言の成立とは、遺言能力・遺言者の意思表示の瑕疵など、効力とは、遺言の効力の発生時期・条件・取消しの可否などを指します。


なお、遺言者の年齢、国籍その他の人的資格、及び証人の資格による遺言の方式の制限は、「遺言の方式の準拠法に関する法律」に言う「方式」に含まれるものとされているため(遺言準拠5)、上記1に挙げた準拠法により有効性が判断されることとなります。



■外国において日本民法に基づく遺言を作成するには
  
上記のように、外国であっても日本民法の規定に従って、基本的には日本で作成する場合と同様の要件で自筆証書遺言を作成することが出来ますし、日本の領事の駐在する地であれば公正証書遺言・秘密証書遺言を作成することが出来ます。


1 言語と押印について

民法上、自筆証書遺言や秘密証書遺言では使用言語についての規定はないため、外国語で遺言することも可能です。


また、印鑑がない場合には署名に加えて拇印又は指印で代えることも出来るとされています(最判平元・2・16判時1306・3)。


2 公正証書遺言・秘密証書遺言の作成

公証人が公正証書を作成できる国では、その国の法律に従って作成することも行為地法として有効です(遺言準拠2一)が、それが出来ない国にあっても「日本の領事の駐在する地」であれば、その領事に公証人の職務を行わせ、日本の民法に定められた要件のもとで遺言を作成することが出来ます(領事方式、民984)。

この方法は、領事の駐在する地に住んでいることは要件ではなく、旅行者など一時的滞在者も利用することが出来ます。

本人の確認には、印鑑登録証明書による他、旅券又は運転免許証の提示など、他の確実な方法によることが出来ます(公証28A)。


遺言をする際の用語は日本語でも外国語でも良いですが、遺言者が日本語を解せない場合には通事を立会わせることが必要です(公証29)。

また、証人には遺言者が口授した内容が正確に筆記されたことを証明する役割を担うので、遺言者の述べた内容を理解出来ていなければ、証人立会いの要件が満たされたことにはなりません。


■遺言執行者の指定等について
  
遺言執行者の指定、選任及び権限については、相続の準拠法である本国法(法通則36)が適用され、日本人であれば遺言執行者を指定することができます(民1006@)。


ただし、上記のように英米法国では不動産の相続は、その所在地の法律に従って相続されるのが原則とされており、さらに英米法国では遺言の執行に関して遺言執行者を専ら司法機関の選任によるものとして、裁判所の監督の下で遺産管理・清算を行わせる方正が採られています。

したがって、遺言者が日本以外の国に財産を有している場合には、遺言で指定された遺言執行者でも、裁判所の選任手続を経る必要が生じるなど、その財産の執行は、その国の制度に従って行われることになります。
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2008年12月20日

認知症の者が遺言を作成するときは?

■遺言能力

民法は、遺言者が満15歳以上で、遺言をする時において能力を有していれば遺言をすることが出来るとしています。

遺言をする能力を遺言能力と言い、民法963条の「能力」とは一般的に意思能力を指す者と考えられます。泥酔者などには意思能力がなく、認知症の者も症状の程度が進行しており、事理を弁識する能力を欠く状態になっているような場合には意思能力なしとして遺言は無効になります。

また、一般の法律行為については、判断能力を有しないものを保護する見地から、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人の規定を設け、それぞれ行為に制限を受ける旨の規定を定めています。

しかし、遺言に関しては15歳以上であれば遺言能力を有するとし、制限行為能力者についてその規定を適用しないとしており、未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人も遺言能力を有するとしています。

このような、一般的な法律行為と異なる定めをおいた趣旨は、「遺言は自然人の最終的な意思であり、出来る限り尊重すべきであるという価値判断が働くこと」「遺言の内容は認知等の身分行為も含まれること」「一般の法律行為ほどの保護を制限行為能力者に与えなくても、遺言の効果が発生するのは遺言者死亡時からであるため遺言者の保護に欠けることはないこと」が挙げられます。

もっとも、成年被後見人については、後述しますように事理を弁識する能力を一時回復した時点において、医師2人以上の立会いのもと、遺言をしなければならないと定めています。

よって、15歳以上であり、かつ、意思能力を有する場合には遺言をすることは出来ますが、成年被後見人については、民法の定める手続によらなければならないことになります。

このことは、すべての方式の遺言に当てはまります。


■成年被後見人の遺言
   
1 手続

成年被後見人が遺言を作成する場合、各遺言個別の要件を満たす他に、以下の要件を満たす必要があります。

@成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復したときに遺言を作成すること

A医師2人以上が立会うこと

B遺言に立会った医師は、遺言者が遺言をする時において精神情の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を、遺言書に付記して署名押印すること

C秘密証書遺言においては、封紙にその旨を記載し署名押印すること
民法973条は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言いずれにも適用されますが、成年被後見人がいつの時点において、事理を弁識する能力を一時回復している必要があるかについては、遺言の種類ごとに異なります。

自筆証書遺言では、遺言者が遺言書の全文、日付及び氏名を自書し押印する際に能力を回復している必要があります。

公正証書遺言では、公証人に遺言の趣旨を口授するところから公証人が署名押印するまでの全体で能力を回復している必要があります。

秘密証書遺言では、遺言書本文の作成と遺言証書を封じた封書を公証人及び証人2人以上の前に提出し、公証人が署名押印するまでの間に時間が空く可能性がありますが、封書を公証人に提出した時に能力を回復している必要があります。

医師は、遺言者がそれぞれ能力を有していなければならない間、間断なく、立会っている必要があります。

なお、医師は立会人になりますので、証人及び立会人の欠格事由に該当する医師は立会うことが出来ません。

よって、認知症の老人が遺言を作成する場合、遺言者が成年被後見人となっている場合は、民法973条の手続を経る必要が生じます。

成年被後見人となっていない場合、民法973条の手続を経る必要はありませんが、後日遺言の無効が争われるリスクを軽減するには、民法973条の手続に従って作成するほうが良いと思われます。


2 意思能力の有無の判断

いかなる場合に意思能力を有し、事理を弁識する能力を一時回復していたかの判断は、事案ごとの判断になります。

公正証書遺言によったとしても、遺言能力を有さないという事案はあります。遺言能力の有無の判断要素は、遺言者の年齢、病状の推移、遺言作成時前後の様子、発病と遺言時との時期的関係、遺言時及びその前後の言動、日頃の遺言についての意向、遺言内容等になります)

例えば、名古屋地裁岡崎支部平成5年5月27日判決(判時1474・128)は、脳梗塞になり禁治産宣告を受けた遺言者が、脳梗塞後、判断能力が日によって好転と悪化を繰り返していたとした上で、遺言作成時には、判断能力が良好な状態であることを医師が確認したものとして、遺言作成時には判断能力を有していたと認定しています。


■被保佐人・知的障害者の遺言
  
被保佐人は、事理弁識能力が著しく不十分な者を言います。被保佐人が重要な財産処分行為をするには、保佐人の同意が必要であるとされていますが、被保佐人が遺言をするには制限がありません。

また、知的障害者も、遺言能力を有してさえいれば特段の制限はありません。被保佐人や知的障害者が、遺言書を作成するための民法973条の手続を経る必要性はありません。

しかし、「被保佐人であっても判断能力の低下が進行することはあり得ること」「知的障害者も必ずしも作成時に意思能力を有しているとは言い切れないこと」からすると、遺言書の作成は慎重にされるべきです。

判断能力に疑問があり、後日遺言の無効が争われるリスクを軽減するには、民法973条の手続に従って作成することが良いと考えます。

また、「医師の診察を受け診断書等を作成してもらう」「遺言者の生活状況、病気の状況等を細かに記録する」などして、遺言者の状態を記録化しておくことも、後日遺言能力が争われた際の証拠になり得るため良いと考えます。



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2008年11月27日

身体に障害がある者が遺言を作成するときは?

■口が利けない者の遺言の作成


1 自筆証書遺言の作成


口が利けない者が、自筆証書遺言を作成することは問題ありません。


2 公正証書遺言の作成


公正証書遺言は、公証人が関与することで、公証人から記載の仕方等について指摘を受けることが出来るため無効となるおそれが低い点、公証役場に原本が保管されるために紛失のおそれがない点、検認手続が不要となる点といったメリットの多い遺言です。

しかしながら、平成11年法律149号改正前の民法では、公正証書遺言を作成するには遺言者による遺言の趣旨の「口授」「口述」が必要とされていたため、口が利けない者は公正証書遺言をすることが出来ず、上記メリットを享受出来ないとされてきました。

そこで、平成11年法律149号改正民法では、「口授」に代えて遺言の趣旨を通訳人の通訳又は自書をすることで、公正証書遺言を作成することが出来るようになりました。

この場合、公証人は通訳人の通訳又は自書によったことを公正証書遺言に記載しなければなりません。

「口が利けない者」とは、身体的な言語機能障害者のみならず、聴覚障害や老齢等のために発話が困難で、公証人や証人等の発話内容の聴取が困難な場合や、一時的な言語機能障害も含むと考えられます。

また、「通訳人の通訳」とは手話通訳のみならず、読話、解読、指点字による方法など様々な方法が可能なものと考えられます。


3 秘密証書遺言の作成

秘密証書遺言は、平成11年法律149号改正前の民法でも、自己の遺言書である旨及び遺言者の氏名・住所を自書して「申述」に代えることが出来るとされていましたが、平成11年法律149号改正民法により、自書に加えて通訳人の通訳により申述に代えることが出来るようになり、両者を選択出来るようになりました。


4 特別方式による遺言の作成

死亡危急者遺言でも、遺言の趣旨を通訳人の通訳により申述することで、口授に代えることが出来るようになりました。

また、船舶遭難者遺言でも、通訳人の通訳により遺言をすることが出来るようになりました。


■耳が聞こえない者の遺言の作成

1 自筆証書遺言の作成

耳が聞こえない者が、自筆証書遺言を作成することは問題ありません。

2 公正証書遺言の作成

公正証書遺言は、前掲■口が利けない者の遺言の作成 2でも述べたようにメリットの多い遺言です。

しかしながら、平成11年法律149号改正前の民法では、公正証書遺言を作成するには遺言者の「読み聞かせ」が必要とされていたため、耳が聞こえない者は公正証書遺言をすることが出来ず、上記メリットを享受出来ないとされてきました。

そこで、平成11年法律149号改正民法では、「読み聞かせ又は閲覧」させることとし、閲覧によっても公正証書遺言の作成が可能となった上、耳の聞こえない者は通訳人の通訳により遺言者又は証人に伝えて「読み聞かせ」に代えることが出来るようになりました。

この場合、公証人は通訳人の通訳によったことを公正証書遺言に記載しなければなりません。

「耳が聞こえない者」とは、身体的な聴覚機能障害者のみならず、一時的な聴覚機能障害も含むと考えられます。また、「通訳人の通訳」とは手話通訳のみならず、様々な方法が可能なものと考えられます。

3 秘密証書遺言の作成

耳が聞こえない者が秘密証書遺言を作成することは、自己の遺言書である旨及び遺言者の氏名・住所を自書して「申述」することが出来れば可能なものと考えます。

しかし、出来ない場合には「口が利けない者」と同様の問題になるものと思われます。

4 特別方式による遺言の作成

死亡危急者遺言でも、遺言の趣旨の口授又は申述を受けた者が、これを筆記して、遺言者及び他の証人に読み聞かせるか、又は閲覧させることが出来るようになり、さらに、耳の聞こえない者については、筆記した内容を通訳人の通訳によりその遺言者に伝えて「読み聞かせ」に代えることが出来るようになりました。

すなわち、耳の聞こえない者に関しては、筆記した内容を閲覧の方法によるか通訳人の通訳によることが出来るようになりました。


■目が見えない者の遺言の作成

1 自筆証書遺言の作成

自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付及び指名を自書しなければなりません。

その趣旨は、その筆跡によって遺言者本人が作成した遺言書であると確認する点にあります。

そのため、点字やパソコン等による遺言書は、遺言者本人が作成したものであっても、筆跡によって遺言者本人が作成したものか検証することが出来ないため無効であると考えます。

そのため目の見えない者は、全文、日付、氏名を自書できるような場合を除いて、自筆証書遺言の作成は出来得ないと言えます。

2 公正証書遺言の作成

公正証書遺言の作成には、遺言者が公証人の作成した遺言書の筆記の内容が正確なことを承認することが求められているため、目の見えない者は公正証書遺言が出来ないようにも思われますが、判例は目の見えない者も公正証書遺言の証人となることが出来るとしていること、公証人は遺言者の口授を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせており、筆記が遺言者の口授と一致しているかは目に見えない者でも検証可能であることからすると、目の見えない者でも公正証書遺言は出来るものと言えます。

また、目の見えない者が遺言書に署名できない場合、公証人がその事由を遺言書に付記して署名に代えることが出来ます。


3 秘密証書遺言の作成

秘密証書遺言は、遺言書本文を自書することが要件となっておらず、求められているのは遺言書本文及び封紙への自書であることからすると、遺言者において自署することが可能であれば、遺言書本文は点字であっても問題ないと言えます。



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2008年11月11日

日付の記載方法は?

■日付の意義


自筆証書遺言をするには、遺言者が遺言の全文、日付及び指名を自書し、押印をしなければなりません。

遺言は、要式行為であるため、日付の自書を欠く遺言は無効となります。

遺言書において日付は、

1)遺言者は遺言能力を要するところ、日付は遺言能力の有無の判断の基準となる点

2)前の遺言と後の遺言が互いに抵触する場合、後の遺言が有効となるところ、日付はその基準となる点において意義を有しています。


■記載すべき日付


通常、遺言書の日付は遺言書の全文が記載された日が記載されますが、これについては必ずしも厳格にする必要はないと思われます。

判例は、11月5日午後9時頃に全文を記載したものの、重態で疲労が甚だしいため翌6日午後2時頃に「5日」と記載した事案についても遺言を無効とすべきではないとし、また、遺言者が遺言書の日付以外の全文を記載された日に成立した遺言として適法としています。

もっとも、遺言の厳格な要式行為性に鑑みれば、特段の事情のない限り遺言書を1日で作成し、その作成日を日付とするのが無難です。



■効力が問題となる日付


日付は本来「年・月・日」によって記載されるのが原則ですが、これを備えていない場合、遺言書が有効となるかが問題となります。遺言の要式行為性と遺言者の意思の、どちらをどれだけ尊重するかという観点から検討されることになります。

   
1 日の記載を欠く日付

「平成〇〇年〇月」「平成〇〇年〇月吉日」といった日付は、具体的な日付がないため有効となるかが問題となります。

判例は「大正5年1月」と記載された遺言について、日付のあることは自筆証書遺言の要件であって日付のない遺言は無効としています。

これに対して、年月の記載だけでも遺言者の遺言能力の判断は可能であること、遺言者の意思を尊重すべきという点を理由として遺言を有効とすべきとの見解もありますが、通説は日付を欠く遺言を無効とすべきであるとしています。

また、「平成〇〇年〇月吉日」との記載のある、いわゆる吉日遺言も暦上の特定の日を表示するものとは言えないとして、無効であるとされています。


2 一見明らかとならない日付の場合


日付は通常「年・月・日」を記載しますが、必ずしも暦日を記載する必要はなく、日の特定が可能であれば日付の趣旨を達成することができ、有効であると考えられます。

判例として、「40年8月4日」との記載を明治40年8月4日の日付として有効としたものや、封筒の裏面に数字を縦書きでの記載を昭和26年3月19日の日付として有効としたものがあります。

学説も、「還暦の日」「〇〇の誕生日」「平成〇〇年春分の日」といった記載も、日の特定が可能なものとして有効と考えています。よって、日付を「妻の誕生日」とした記載も有効であると考えます。


3 複数の日付が記載されている場合

学説は、複数の日付が記載された遺言について有効と解していますが、「反証のない限り、後の日付に完結せられた遺言として取り扱うべき」とする説と、「遺言の内容等に照らし、いずれかが真正な日と解されるときは、その真正の日付をもって遺言書の日付とすべき」とする説があります。

判例は、第1葉末尾には昭和46年10月18日、第2〜4葉末尾に昭和47年11月10日と記載されている遺言書について「両者は全体として1個の遺言を形成しているものというべく、この場合、本件遺言の日付は、特段の反証のない本件においては、後の日付である昭和47年11月10日であると認めるべきである」としたものがあります。


4 真実の遺言作成日と異なる日付が記載されている場合


故意に、真実に反する日付を記載した場合は、遺言の要式行為性に反するものとして無効というべきです。

誤記の場合は、その取り扱いが問題となります。判例は、昭和48年秋に死亡した者が同年夏入院中に、知人の弁護士から勧められて昭和48年8月27日に作成した遺言書を「昭和28年8月27日」とした事例について「自筆証書遺言に記載された日付が真実の日付と相違しても、その誤記であること及び真実の作成の日が遺言証書の記載その他から容易に判明する場合には、日付の誤りは遺言を無効ならしめるものではない」とし、錯誤であること及び真実の作成の日が容易に判明する場合は有効となるとしたものがあります。

!まとめ

遺言書の要式行為性からすると、

◎日付は必ず記載すること

◎遺言書は1日で作成し遺言書を作成した日付を誤りなく記載すること

◎日付は後日紛争とならないように「年・月・日」を1つだけ記載することといったことを、確実に守ることが後日の紛争を回避するために重要となります。

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2008年11月05日

押印・署名の方法とその留意事項は?

■署名・押印の意義

遺言は遺言者の単独行為であるため、その作成方式について厳格な要件を定めており自筆証書遺言では、全文、日付及び氏名を自書し、これに押印しなければならないとしています。

そして署名と押印とは、「遺言者が誰であるかということ」及び「遺言者が真正な真意をもって遺言書を作成したこと」を明らかにするために、原則として遺言者自らなすことが求められています。


■署名の方法

署名は「氏名の自書」とある以上、姓名共に書くことが原則ですが、遺言者が誰であるかを知るに足り、他人と混同を生じなければ姓名共に書く必要はないとされています。

もっとも、姓だけでは同じ姓の他の家族と混同されるおそれがあり、上記大審院の判例も姓のない名前のみの事案で有効な署名であるとしたものであったことからすると、姓のみの遺言は慎重になされるべきでしょう。

また、氏名は戸籍上の氏名と同一でなくても良く、遺言者が通常用いている通称、芸名、ペンネーム等でも、それが遺言者と同一性を有することが示されていれば足りるとされています。

戸籍上「根来正雄」という氏名の者が、生前使用していた「根来政雄」という氏名で遺言書を自書した場合、遺言書を有効とした事案があります。


■押印の要否・方法等

1 押印の要否
 

押印の要否に関し、例えばクレジットカードにおいて署名のみで足りるとされているなど、署名のみで事足りる場面が増えた社会の動向からすると、常に押印を必要とすることは妥当でないとして、立法論的には押印を不要とし、解釈論的にも押印の要件を緩和して解釈するべきであるとする意見もあります。


しかし、押印を不要とすることは民法の明文に反するもので、押印を欠く遺言書を有効とすることは原則として出来ないものと考えます。

また、昨今、逆に本人確認の重要性が指摘されるようになっている社会情勢からすると、押印を直ちに不要とすることは妥当でないように思われます。


判例は、遺言者が遺言書作成の約1年9ヶ月前に日本に帰化したロシア人であり、長年日本に居住するも、主としてロシア語又は英語を使用し日本語は片言を話すに過ぎず、印章を使用するのは官庁に提出する書類等、特に相手方から押印を要求されるものに限られていた等の事情がある事案において、自筆証書遺言に署名のみ記載し押印を欠く遺言書を有効としたことがあります。

しかしながら、上記判例は特殊な事情の元に認めた判例であって、一般的に押印を不要とした判例ではないと考えられます。



2 押印の種類


(1)印鑑の種類

   使用される印鑑は、実印でも認印でも構いません

(2)指印の可否

   押印が指印で足りるかという点については争いがありましたが、   最高裁判所は「押印としては、遺言者が印章に代えて拇指その他   の指頭に墨、朱肉等をつけて押捺することをもって足りるとする   のが相当である」として、指印で足りることを認めました。

   その理由として、最高裁判所は「押印について指印を持って足り   ると解したとしても、自筆証書遺言において遺言者の意思の担保   に欠けるとは言えない」、「実印による押印が要件とされていな   い文書については、通常指印があれば押印があるのと同等の意義   を認めている我が国の慣行しない法意識がある」、「指印につい   ては本人の指印であるか印影の対照によって確認することは出来   ないが、それは印章による押印であっても印影の対照のみによっ   ては遺言者本人の押印であると確認し得ない場合があり、印影の   対照以外の方法によっても遺言者本人の押印であることを立証し   得る場合は少なくない」とのことを挙げています。


   よって、押印が指印であっても遺言は無効となりません。
   もっとも、判例は自筆証書遺言の事例であり、すべての方式の遺   言書に当てはまるか、必ずしも明らかとなっていないことや、本   来は印鑑による押印を要求するのが法の趣旨と考えられることか   らすると、印鑑による押印をするのが無難であると考えます。


3 押印の場所
  
押印の場所については、署名の下になされるのが通常ですが、遺言書本文の入れられた封筒の封じ目にされた押印をもって、押印の要件に欠けるところはないとした事例があります。



4 契印の要否

遺言書が数葉に渡る場合、その間に契印・編綴がなくても、その内容・外面等から見て1通の遺言書であることが確認出来る限り遺言書は無効となりません。


5 他人による押印の効果

民法968条1項は「遺言者が」「これに印を押さなければならない」としている以上、原則として遺言者自らが押印しなければならず、遺言者と無関係に他人が押印した遺言は無効であると考えられます。

もっとも、必ずしも遺言者が常に押印しなければならないというものではなく、判例は遺言者の依頼により病床のそばにいた者が、遺言者の面前で押印した場合について有効であるとしています。

また、遺言者がAに押印を欠く遺言書を交付し、かつ、Bに預けてある実印の返還を受けて遺言書に押印するよう指示し、AがBから実印の返還を受けて遺言者の指示どおりに遺言書に押捺した場合も、遺言者の特定及び遺言意思の確認に欠けるところがないとして、押印を有効とした事例があります。

このように、遺言者の特定及び遺言意思の確認に問題がない場合、他人による押印を有効とした判例もありますが、遺言者の特定及び遺言意思の確認がされれば個人による押印で足りるとすることも疑問の残るところです。

事情を個別に判断して、遺言者自身による押印と同様と言えるような場合には例外的に有効となり、遺言者の手による押印が原則である以上、特段の事情がある場合を除き、遺言者による押印を行うのが確実な方法であると考えます。


注意!

署名・押印については、これを緩和してとらえる判例も存在しますが、遺言の厳格な要式行為性からすると遺言者自身によって署名押印をなした方が間違いがないということは言うまでもありません。

署名押印等の要式面で間違いがないようにするには、公正証書遺言による方がより確実と言えます。
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2008年10月24日

遺言を作成するときの証人や立会人

■証人・立会人の意義

自筆証書遺言を除く遺言には、証人又は立会人が必要です。

証人とは、遺言の作成に立会い、作成された遺言が遺言者の真意に出たものであることを証明する者であり、立会人とは、遺言作成の場に居合わせて、遺言の成立の事実を証明する者を言います。

証人は遺言の内容を知っていなければなりませんが、立会人は遺言の内容についてそれが真実であることを証明する責めを負わされることはありません。

証人・立会人は、遺言の作成を証明する人であり遺言作成に関し重要な地位にあるため、それに適した能力を持ち、利害関係を有しない者でなければならないとされています。



■証人・立会人の法定の欠格事由

  民法は、
 @未成年者
 A推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
 B公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

 は、証人・立会人になることは出来ないとしています。



1 未成年者

未成年者は十分な意思能力を有さないため、証人・立会人の欠格者とされています。

未成年者は、法定代理人の同意があっても証人・立会人となることが出来ません。
   
2 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族


推定相続人や受遺者は直接的に、推定相続人・受遺者の配偶者・直系血族は間接的に、遺言の内容に関し強い利害関係を有することから欠格者とされています。


推定相続人とは遺言作成時に第一順位の相続人をいい、受遺者とはその作成された遺言によって遺贈を受ける者を言います。

それゆえ、遺言者に子や妻がいる場合、兄弟は証人となることが出来ます。

仮に、遺言作成後に遺言者より前に遺言者の妻子が死亡し、兄弟がその時点で推定相続人になったとしても、妻子生存時に作成された遺言の効力には影響がありません。


また、配偶者には推定相続人の配偶者も含みます。

推定相続人の配偶者も受遺者の配偶者と同様に、強い利害関係を有することや条文の規定の仕方からすれば妥当と考えます。


したがって、遺言者の兄弟も第一順位の相続人でなければ証人・立会人となれますが、推定相続人である子の配偶者は証人・立会人になることは出来ません。


ところで、秘密証書遺言については、遺言の内容や受遺者を知っているのは遺言者のみであり、これに立会う証人は、遺言書が封じられていることを知るに過ぎないため実質的には立会人と言えます。

その場合、遺言の内容を知らないため、秘密証書遺言では推定相続人や受遺者も証人・立会人となることも出来ると考えられていますが、判例は秘密証書遺言でも、受遺者は証人・立会人になれないとしています。


3 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

公証人の配偶者や四親等内の親族、書記及び使用人は関係者であって、遺言者に影響を与えるおそれがあるため欠格者とされています。

ここでいう公証人は、当該遺言の作成に携わる公証人を指します。




■証人・立会人の事実上の欠格事由

法律上欠格者として挙げられていない者についても証人・立会人となることに適さない者は、いわゆる事実上の欠格者として、証人・立会人になることが出来ません。


1 署名することが出来ない者

証人は署名が必要であるため、これが出来ない者は証人・立会人となれません。


2 遺言者の口授を理解できない者

証人は、死亡危急者遺言では遺言者の口授の筆記を、船舶遭難者遺言では遺言の趣旨の筆記を、それぞれ課せられています。

筆記を行うのは証人のうち1人ですが、証人全員が遺言の口授の内容を理解できなければ実効性がないため、証人・立会人は遺言者の口授を理解できる者でなければなりません。


3 筆記の正確なことを承認する能力のない者

証人は、公正証書遺言や死亡危急者遺言において筆記の正確なことを承認した後、署名押印することが求められており、筆記の正確なことを承認する能力のある者でなければなりません。

もっとも、判例は「目の見えない者は人違いがないこと及び遺言者が真意に基づき遺言の趣旨を口授することを確認する能力を欠いている者ではない」などとして、民法所定の欠格者でも、事実上の欠格者でもないとしています。



4 口の利けない者

死亡危急者遺言では、証人のうち1人が遺言の趣旨を口授して、遺言者及び他の証人に口授しなければならないため、口の利けない者は事実上の欠格者となるという見解もありますが、死亡危急者遺言の読み聞かせを行う証人以外にはなれるとする見解もあります。

しかし、口の利けない者については、平成11年の民法改正により口の利けない者であっても通訳人の通訳により遺言の内容を確認することが出来ることとなったため、事実上の欠格者にならないのではないかと思われます。


5 法定代理人(親権者・成年後見人)・保佐人


法定代理人は、未成年者や成年被後見人の財産管理権を有するため、また、保佐人も同意権等財産に対し関与するため、未成年者・成年被後見人・被保佐人の遺言に影響を与えるおそれがあるため証人となり得ないとする見解と、民法974条が制限的列挙の規定であることから欠格者とならないとする見解があります。

争いがあることからすると、出来る限り法定代理人を証人・立会人とすることは避けた方が良いと考えます。



6 遺言執行者

判例は、利害関係を有する者でなければ証人となることが出来るとしています。




■欠格者が立会って作成された遺言の効力

証人又は立会人の欠格者が立会って作成された遺言は、方式を欠くものとして遺言全体が無効になるのが原則と考えます。

もっとも、「遺言公正証書の作成に当たり民法所定の証人が立会っている以上、たまたま当該遺言の証人となることが出来ない者が同席していたとしても、この者によって遺言の内容が左右されたり、遺言者が自己の真意に基づいて遺言をすることを妨げられたりするなど、特段の事情のない限り当該遺言公正証書の作成手続を違法で無効であるということは出来ない」とする判例があります。
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2008年09月25日

在船者が作成する遺言の要件は?

■在船者遺言の要件

伝染病隔離者遺言と同様、在船中にある者は船舶中に公証人がいないと思われますので、遺言の作成に公証人の利用をすることが出来ず、公正証書遺言や秘密証書遺言を作成することが出来ません。


これに代わるものとして、在船者遺言が認められています。在船者が自筆証書遺言を作成することはもちろん可能です、


1 在船中に在る者であること


ここの「船舶」がいかなる船を指すかについては争いがあり、航海をする船舶のみを指し、そのほかの湖川航行の船舶等は含まないとする見解もありますが、通説は、湖川・港湾のみを航行する船舶も、容易に上陸して公正証書遺言や秘密証書遺言を作成することが困難な場合もあることから、航海する船舶に限定すべきでないとしています。また、在船中とは、航行中・碇泊中いずれも問いません。

在船中にあるものとは、乗務員・旅客・一時便乗した者いずれも含みます。



2 船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いがあること


事務員とは、船長以外の船舶職員すなわち航海士、機関長、機関士、通信長、通信士、及び国土交通省令の定めるその他の海員を指します。


国土交通省令の定めるその他の海員とは、運航士、事務長、事務員、医師、その他航海士・機関士又は通信士と同等の待遇を受ける者を指します。


3 遺言者が遺言書を作成すること

 
4 遺言関係者全員の署名押印があること


遺言者を含め遺言関係者全員の署名押印が必要な点は、船舶遭難者遺言と異なります。

署名押印が出来ない者がいるときは、その事由を付記しなければなりません。

なお、在船者遺言は、他の特別方法の遺言と同様に、遺言者が普通方式によって遺言をすることが出来るようになったときから6ヶ月間生存するときは、その効力が生じません。

タグ:遺言 相続
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2008年09月12日

伝染病隔離者の遺言について

■伝染病隔離者遺言の要件

交通を断たれた所に在る者は、交通を断たれてしまっているため遺言の作成に公証人の利用をすることが出来ず、公正証書遺言(民969)や秘密証書遺言(民970)を作成することが出来ません。


これに代わるものとして、伝染病隔離者遺言(民977)が認められています。伝染病隔離者が自筆証書遺言を作成することはもちろん可能です。

1 行政処分によって交通を断たれた場所に在る者であること

条文では「伝染病のため」とありますが、伝染病に限らず、一般社会と自由に交通することが事実上又は法律上遮断されている場所にある場合も含まれると解されています。


2 警察官1人及び証人1人以上の立会いがあること

死亡危急者遺言では証人3人以上の立会いを要します(民976)が、交通を断たれた所に在る者は、証人の確保が困難であるため1人以上とされています。

警察官は、交通が断たれている場所にも出入りが比較的自由であるため立会人とされています。

警察官にいかなる者を含めるかについては争いがあり、通説は、警察官は巡査を含まない警部補以上としていますが、実際上の必要性から巡査を含むとする見解もあります。

また、警察官は正当な理由なくして立会いを拒絶することは出来ません。


3 遺言者が遺言書を作成すること
 

4 遺言関係者全員の署名押印があること

遺言者を含め遺言関係者(証人、立会人、筆者(「筆者」に関しては、遺言の代筆が可能かについてそもそも争いがあります))全員の署名押印が必要な点は、船舶遭難者遺言と異なります。

署名押印が出来ない者がいるときは、その事由を付記しなければなりません。


なお、伝染病隔離者遺言は、他の特別方法の遺言と同様に、遺言者が普通方式によって遺言をすることが出来るようになったときから6ヶ月間生存するときは、その効力が生じません。



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2008年09月06日

船舶遭難者が作成する遺言の要件は?

■船舶遭難者遺言の要件



船舶遭難者遺言は、船舶が遭難し死亡の危急に迫っている者には、公証証書遺言・秘密証書遺言はもちろん、死亡危急者遺言や在船者遺言いずれの方式によっても遺言をすることが困難であることから、上記の遺言方式よりも緩和された要件となっています。



1 船舶が遭難した場合において当該船舶中に在る者であること
    
2 死亡の危急に迫った者であること


死亡の危急に迫っていることを要し、死亡が現実に予想し得る程度や遺言者が危急を予想するだけでは足りません。


3 証人2人以上が立会うこと

死亡危急者遺言では証人3人以上の立会いが必要ですし、在船者遺言では船長又は事務員1人の立会いが必要ですが、船舶遭難の状況で立会いを求めることは困難であるため、必要とされていません。



4 遺言者が口頭で遺言をすること(口の利けない者の場合には通訳人の通訳により遺言をすること)

死亡危急者遺言では、口授を受けた者が筆記したものを遺言者及び他の証人に読み聞かせ又は閲覧させることが必要ですが、船舶遭難者遺言では、かかる手続は要件とされていません。

証人は、船舶遭難の状態が去ってから、遺言の趣旨を筆記すれば足りると考えられます。

また、以前は口頭で必ず遺言をすることが要件となっていましたが、平成11年法律149号の民法改正によって、口が利けない者は通訳人の通訳により遺言をすることが出来るようになりました。


5 証人が遺言の趣旨を筆記してそれに署名押印すること

証人全員の署名押印が必要となりますが、遺言者自信の署名押印は不要です。

署名押印が出来ない者がいるときは、その事由を付記しなければなりません。


6 家庭裁判所の確認を得ること

証人が筆記した証書について、家庭裁判所の確認を得ることが必要です。

家庭裁判所は、遺言の内容が遺言者の真意に出たものであるとの心証を得なければ、確認をすることが出来ません。

確認審判を得た遺言も、検認手続が必要となります。

なお、船舶遭難者遺言は、他の特別方式の遺言と同様に、遺言者が普通方式(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)によって遺言をすることが出来るようになったときから6ヶ月間生存するときは、効力が生じません。




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2008年09月02日

臨終の際に作成する遺言の要件

■一般危急時遺言の要件

入院加療中に病状が急変し重篤な状態になった場合、自筆証書遺言や公正証書遺言又は秘密証書遺言等の普通方式による遺言を作成している時間的な余裕がありません。

このような場合に備えて、法は一般危急時遺言という、特別方式の遺言を制度として定めており、緩和された要件となっています。

1 疾病その他の事由によって死亡の危急が迫っていること

死亡の危急が迫っているか否かについては、遺言者が主観的に自己に死亡の危急が迫っていると判断すれば足りると解されています。

もっとも単なる予想程度では足りません。

なお、遺言者が危急状態から脱して普通方式の遺言が出来るようになってから6ヶ月が経過した場合には、危急時遺言の効力は生じないとされています。

これは、本来遺言は厳格な要件のもとに作成されなければならないのが原則であり、例外である要件の緩和された特別方式による遺言の効力を存続させる必要はなく、むしろ普通方式によって遺言をすることが出来る状態になったのであれば、原則に戻るのが遺言者の真意を確保するという法の趣旨に沿うからです。


2 証人3人以上が立会うこと

証人の数が普通遺言の場合よりも多いのは、一方で要件を緩和しつつ、他方で遺言者の真意を確保するという最低限の要請を満たすためです。

3人程度であれば不可能を強いることにはならないと法は意図したものと思われます。

証人は欠格事由のない証人適格を有する者でなければなりません。

したがって、例えば証人3人の中に推定相続人が1人でもいる場合には、この要件を欠くことになり遺言は無効になります。

なお、証人全員が遺言の最初から終わりまで立会っている必要があります。


3 遺言者が証人の1人に対し遺言の趣旨を口授すること

口授とは、言葉を口で話して相手に伝えることを意味しますので、基本的には口授する能力が必要とされています。

もっとも、遺言者が口の利けない者の場合には、遺言者が証人の前で遺言の趣旨を通訳人の通訳によって申述して口授に代えることになります。


4 口授を受けた者がこれを筆記すること

筆記は、口授されたことと一文一句同じである必要はなく、口授の趣旨が筆記されていれば良いと解されています。

なお、筆記にはタイプライター、ワープロの利用が可能であり、筆記する場所は、口授とは違う場所でも良いと解されています。

筆記したものを加除・訂正する場合には、筆記者及び各証人が変更した旨を付記し、署名・押印をしなければなりません。


5 口授を受けた者が筆記したものを遺言者及び他の証人に読み聞かせ又は閲覧させること

遺言者又は証人が、耳が聞こえない者の場合には、筆記した内容を通訳人の通訳によって読み聞かせに代えることになります。


6 各証人がその筆記が正確なことを承認した後これに署名押印すること

証人全員が署名押印する必要がありますが、押印は認印で構いません。

遺言者本人の署名押印は不要です。日付は普通方式の遺言と異なり要件とされていませんので、記載する必要はありません。

なお、証人は「遺言者が生きている間に署名押印しなければならない」との古い判例がありますが、承認が筆記の正確なことを承認すれば、たとえ遺言者の死亡した後であっても、その場で署名押印がなされれば良いとする見解もあります。


一般危急時遺言は、遺言の日から20日以内に証人の1人又は利害関係人が家庭裁判所に請求して確認を得なければ効力が生じません。

これは、遺言が遺言者の真意に基づくものであるか否かを判断するためです。

遺言者の真意につき家庭裁判所が得るべき心証の程度は、確信の程度に及ぶ必要はなく、一応遺言者の真意に適うと判断される程度の緩和された心証で足りると解されています。

なお、管轄裁判所は、相続開始地及び遺言者の住所地の家庭裁判所になります。

■メモ用紙に走り書きされた遺言

突発的な事故の際に、走り書きしたメモが見つかることがありま。

このような、走り書きされたメモによる遺言の有効性が問題になります。

1 遺言者自身がメモを自筆した場合

自筆証書遺言として認められるのかが問題となります。

偶然にも印鑑を持っていて署名押印がなされているのであれば、自筆証書遺言として認められる可能性があります。


2 遺言者以外の者がメモを作成した場合

船舶遭難者遺言の規定を類推適用することが出来るかに関して争いがありますが、類推適用することが出来るとする見解もあります。

証人2人以上の立会いのもと口頭で遺言し、証人が遺言の趣旨を事故後に再度筆記して署名押印すれば、有効な遺言として認められる可能性があります。

なお、証人の中に署名又は押印をすることが出来ない者がいる場合には、署名押印できない事由を付記すれば良いとされています。



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2008年08月29日

危急時に行う遺言の作成方法

■特別方式による遺言


遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言という普通方式の遺言があります。

しかし、死期が迫っているなどして普通方式による遺言を作成することが出来ない状況にある者が遺言をすることが出来るようにするため、法は作成要件を緩和した特別方式の遺言を制度として定めています。


特別方式の遺言には、死亡の危急に迫った者が行う危急時遺言と一般社会から隔絶された状況におかれた者が行う隔絶地遺言があります。


さらに、危急時遺言には一般危急時遺言と船舶遭難者遺言があり、隔絶地遺言には伝染病隔離者遺言と在船者遺言があります。
 

■危急時遺言

一般危急時遺言

次の要件を満たす場合には、一般危急時遺言をすることが出来ます。

@疾病その他の事由によって死亡の危急が迫っていること

死亡の危急が迫っているか否かについては、遺言者が主観的に自己に死亡の危急が迫っていると判断すれば足りると解されています。

もっとも単なる予想程度では足りません。
    
なお、遺言者が危急状態から脱して普通方式の遺言が出来るようになってから6ヶ月が経過した場合には、危急時遺言の効力は生じないとされています。

A証人3人以上が立会うこと

証人は欠格事由のない証人適格を有する者でなければなりません。

したがって、例えば証人3人の中に推定相続人が1人でもいる場合には、この要件を欠くことになり遺言は無効になります。

なお、証人全員が遺言の最初から終わりまで立会っている必要があります。

B遺言者が証人の1人に対し遺言の趣旨を口授すること

口授とは、言葉を口で話して相手に伝えることを意味しますので、基本的には口授する能力が必要とされています。

もっとも、遺言者が口の利けない者の場合には、遺言者が証人の前で遺言の趣旨を通訳人の通訳によって申述して口授に代えることになります。

C口授を受けた者がこれを筆記すること

筆記は、口授されたことと一文一句同じである必要はなく、口授の趣旨が筆記されていれば良いと解されています。

なお、筆記にはタイプライター、ワープロの利用が可能であり、筆記する場所は、口授とは違う場所でも良いと解されています。

筆記したものを加除・訂正する場合には、筆記者及び各証人が変更した旨を付記し、署名・押印をしなければなりません。

D口授を受けた者が筆記したものを遺言者及び他の証人に読み聞かせ又は閲覧させること

遺言者又は証人が、耳が聞こえない者の場合には、筆記した内容を通訳人の通訳によって読み聞かせに代えることになります。

E各証人がその筆記が正確なことを承認した後これに署名押印すること

証人全員が署名押印する必要がありますが、押印は認印で構いません。

遺言者本人の署名押印は不要です。日付は普通方式の遺言と異なり要件とされていませんので、記載する必要はありません。


一般危急時遺言は、遺言の日から20日以内に証人の1人又は利害関係人が家庭裁判所に請求して確認を得なければ効力が生じません。

これは、遺言が遺言者の真意に基づくものであるか否かを判断するためです。

遺言者の真意につき家庭裁判所が得るべき心証の程度は、確信の程度に及ぶ必要はなく、一応遺言者の真意に適うと判断される程度の緩和された心証で足りると解されています。

なお、管轄裁判所は、相続開始地及び遺言者の住所地の家庭裁判所になります。


船舶遭難者遺言

船舶が遭難した場合で、その船舶中にあって死亡の危険が迫った者は、船舶という限られた状況下にあり、証人を確保することが困難であると考えられるため、一般危急時遺言よりもさらに緩和された要件のもとに遺言をすることが出来ます。

すなわち、証人については2人以上の立会いで足り、口頭で遺言をすることで、その場での筆記及び読み聞かせは不要です。

遺言の趣旨の筆記及び各証人の署名押印は、後日別の時にすることが出来ます。

なお、証人の中に署名又は押印をすることが出来ない者がいる場合には、署名押印できない事由を付記することが必要となります。



■隔絶地遺言

1 伝染病隔離者遺言

伝染病のため行政処分によって交通を断たれた場所にいる者は、警察官1人及び証人1人以上の立会いをもって遺言書を作成することが出来ます。

条文の文言上は伝染病のためと規定されていますが、これに限らず地震等によって交通が遮断されている場合も本条による遺言が出来ると解されています。

遺言者及び立会人並びに証人が署名押印することが必要となりますが、署名押印することが出来ない場合には、その事由を付記することになります。

なお、遺言者が普通方式の遺言をすることが出来るようになってから6ヶ月間生存するときは遺言の効力が失われます。


2 在船者遺言

船舶の中にいる者には、船長又は事務員1人及び証人2人以上の立会いをもって遺言書を作成することができます。

遺言者が普通方式の遺言をすることが出来るようになってから6ヶ月間生存するときは遺言の効力が失われます。


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2008年08月23日

秘密証書遺言の作成方法と留意事項

■秘密証書遺言の作成方法と留意事項は?


秘密証書遺言の長所


  1. @遺言書の存在については明らかにしながら、遺言の内容を他者に秘密にして保管が出来ること
    A自書能力がなくても作成出来ること


  2. 秘密証書遺言の長所

  3. @遺言書の内容については、公証人が関与しないため疑義が生じる可能性があること
    A遺言書を作成した事実だけが公証人役場に記録されるのみで、遺言書の原本が保管されるわけではないので、遺言書の紛失、隠匿、未発見のおそれがあること



■秘密証書遺言の作成要件

@遺言者が、遺言書に署名押印すること
A遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印す ること

B遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出し、自己の 遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること


C公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載し た後、遺言者及び証人とともにこれに署名押印すること


■秘密証書遺言作成の留意点

(1)秘密証書遺言の場合、遺言者自身の署名押印が必要とされていま   すが、自筆証書遺言とは異なり本文については、自書であること   が要求されていません。

   したがって、代筆、ワープロ、タイプライターによって遺言書を   作成することも出来ます。署名さえ自筆ですることが出来れば、   文字を書くことが出来ない者も作成することが出来ます。

(2)加除、変更については自筆証書遺言に関する民法968条2項が   準用されていますので、遺言書に加除、変更を加えるためには、   遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を付記してその部   分にも署名し、変更があった場所に押印する必要があります。

(3)秘密証書遺言の場合、日付の記載が必要とされていませんが、こ   れは、公証人が封紙に記載する証書を提出した日付が確定日付に   なり、この確定日付を基準日として遺言能力の有無及び内容が、   抵触する複数の遺言書が存在する場合の先後関係を判断すること   になるからです。

(4)証書の封入、封印を第三者が行っても、第三者が遺言者の面前で   証書の封入、封印をしたのであれば許されると解されています。

(5) 証人には、
   @未成年者
   A推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
   B公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
   は、なることが出来ません。

   したがって、事前に証人になる資格を持っている人2名以上に証   人になってもらうように依頼しておく必要があります。証人2名   のうち1名が証人適格を有しない場合は、遺言は無効になりま    す。

   なお、証人適格を有する証人が2名以上立ち会って署名押印して   いるが、その他に欠格者も立ち会って署名押印した場合について   は、遺言は有効であると解されます。

(6)成年被後見人が秘密証書による遺言をする際には、遺言に立ち会   った医師は、遺言者が遺言をするときにおいて精神上の障害によ   り事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を、封紙に記載し   署名押印をしなければなりません。


(7)秘密証書遺言は、ワープロによっても作成することが出来ます    が、遺言者以外の者がワープロを操作して遺言書の表題及び本文   を印字して遺言書を作成した場合は、「筆者」は遺言者ではなくワ   ープロを操作した者になりますので、ワープロを操作した者を遺   言者の筆者としてその氏名及び住所を公証人に対して申述する必   要があります。

   したがって、これに欠く場合には民法970条1項3号所定の方   式を欠き無効になります。

(8)秘密証書遺言の場合、公証役場において遺言書が存在することに   ついて記録されるだけで、公証人は遺言書を保管しません。

   したがって、自筆証書遺言と同様、紛失、変造、未発見の危険が   あることから、遺言書の保管に関し注意を払う必要があります。

   銀行の貸し金庫に保管したり、行政書士に保管を委託する方法も   考えられます。

(9)外国に在住する日本人は、領事館に行けば秘密証書遺言を作成す   ることが出来ます。

   領事が駐在していない外国の場合は出来ません。

(10)秘密証書遺言の場合は、遺言を執行するために家庭裁判所の検認   が必要とされます。

(11)秘密証書遺言としての要件を欠いていても、自筆証書遺言として   の要件を具備していれば、自筆証書遺言として有効になります。


■秘密証書遺言作成に際して必要なもの及び費用

秘密証書遺言を作成する際には、人違いでないことを証明するために遺言者本人の実印及び印鑑証明書が必要となります。公証役場に支払う手数料は、一律1万1,000円とされています




遺言書のやさしい書き方添削教室
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2008年08月20日

公正証書遺言の作成方法と留意事項

■公正証書遺言と留意事項


●公正証書遺言の長所


  1. 法律の専門家である公証人が作成するので、方式に不備があって無効になったり、文言の意義が不明で無効になったりする危険がないこと

  2. 遺言書の原本が公証役場に保管されるので内容の変造・紛失の危険がないこと

  3. 検認の手続が不要であること

  4. 文字を書くことができない者も作成することができること



●公正証書遺言の短所


  1. 公証人役場に証人とともに行かなければならないなど多少面倒であること(もっとも、遺言者が病気等により公証人役場に行くことが出来ない場合には、公証人に病院、自宅まで来てもらうことが出来る)

  2. 費用がかかること

  3. 遺言の存在及び内容が証人等に知られてしまうこと


    ■公正証書遺言の作成要件


    1 証人2人以上の立会いがあること

    公正証書遺言の作成に際しては、証人2人以上の立会いが必要とされます。

    これは遺言者が口授したことが公証人により正確に筆記されていることを確認するためです。

    証人には、

      @未成年者
      A推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
      B公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
      は、なることが出来ません。

    したがって、事前に証人になる資格を持っている人2名以上に証人になってもらうように依頼しておく必要があります。


    証人には信用できる人を選ぶべきです。職業上守秘義務を負っている行政書士などに証人となってもらえば、遺言書の内容についても秘密にして遺言をすることができるでしょう。

    2 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること

    遺言者は、公証人に対して遺言の内容を直接口頭で伝えます。覚書を口授の補助として利用することも出来ます。代理人による口授は認められていません。

    なお、遺言者が口を利くことが出来ない者の場合には、「口授」に代えて「通訳人の通訳(手話通訳等)による申述」又は「自筆」により、遺言者の趣旨を公証人に伝えることによって公正証書遺言を作成することが出来ます。

    3 公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞か  せ又は閲覧させること
     
    遺言者が耳の聞こえない者の場合には、公証人は「読み聞かせ」に代えて「通訳人の通訳」又は「閲覧」により筆記した内容の正確性を確認することで、公正証書遺言を作成することが出来ます。

    4 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署  名押印すること
     
    遺言者が署名することが出来ない場合には、公証人がその事由を付記して、署名に代えることが出来ます。


    5 公証人が、その証書が1〜4の方式に従って作ったものである旨を  付記して、これに署名押印すること


    ■公正証書遺言作成の費用

    公正証書遺言を作成する場合、公証人に対し手数料を支払う必要があります。公証人の手数料については、目的物の価額に応じて公証人手数料令(別表)において、次のように定められています。

    目的物の価額 手数料
    100万円まで 5,000円
    200万円まで 7,000円
    500万円まで 1万1,000円
    1,000万円まで 1万7,000円
    3,000万円まで 2万3,000円
    5,000万円まで 2万9,000円
    1億円まで 4万3,000円

    ※注1 @目的財産の価額が1億円を超えて3億円以下の場合には、      5,000万円増える毎に1万3,000円が加算

        A3億円を超えて10億円以下の場合には、5,000万円増     える毎に1万1,000円が加算

        B10億円を超える場合には、5,000万円増える毎に8,     000円が加算
     
        なお、上記手数料は相続人あるいは受遺者1人当たりのもので    す。複数の者に、相続あるいは遺贈する場合には、全員分の手    数料を算出する必要があります。

    ※注2 遺言者が病気等で公証人役場に赴くことが出来ず、公証人が出張して作成した場合には手数料が50%加算されます。

    このほかに公証人の旅費、日当が必要になります。



    遺言書のやさしい書き方添削教室   



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2008年08月15日

自筆証書遺言の作成方法と注意事項

■遺言の基礎知識


自筆証書遺言(遺言状)の方式


遺言者の最終意思、真意を尊重し、遺言(遺言状)の偽造、変造を防止するために、民法は自筆証書遺言に厳格な要件を定めています。


自筆証書遺言の要件としては、遺言の全文、日付を自書し署名押印することがあげられます。


自書について

自筆証書遺言においては、遺言者の真意を確保し、偽造、変造を防止するために、すべて自筆で作成するものとされています。


(1)自書とは文字通り自分で書くことを意味しますので、パソコン、   ワープロ、タイプライターによって作成することや、他人に代筆   させることはできません。

   したがって、文字を書くことができない者は自筆証書遺言を作成   することはできません。(公正証書遺言及び秘密証書遺言につい   ては、作成することができます)。

   なお、手ではなく、口や足を用いて記載することも認められると   考えられています。


(2)遺言の内容をテープに録音したり、ビデオで録音したりしても自   筆証書遺言としての要件をみたしませんので、遺言としては無効   です。

   もっとも、遺言者の思いを相続人である家族に伝えるために、テ   ープに録音したりビデオに録画して残したりすること自体は問題   ありません。


(3)カーボン複写を用いた遺言については、カーボン紙を用いること   も自書の方法として許されないものではありませんから、自書の   要件に欠けることはなく有効です。


(4)遺言者が病気等により手が震える場合に、運筆に他人の助けを借   りる程度で、添え手をした他人の意志介入した形式のないことが   筆跡の上で判定できる場合には、自書の要件を満たすと考えられ   ます。


(5)遺言の一部を他人が書いた場合、遺言者の自筆の部分についてま   で無効となるか否かについては、争いがあります。

   遺言者が、第三者が作成した耕地図を利用して遺言を作成した場   合であったとしても、耕地図上に自筆の添書きや指示文言を付記   したりして、自筆書面との一体性を明らかにする方法を講じてい   る場合には自筆としての要件を満たすとする判例もあります。


日付


日付についても遺言者の自書が必要とされています。日付が必要とされる理由は、遺言作成時の遺言者の遺言能力の有無、内容抵触する複数の遺言がある場合に、その先後関係を明らかにして撤回の有無を判断するためです。


日付がない遺言は無効です。なお、日付印を押しただけでは自書の要件を満たさないため無効となります。



自署


遺言書には遺言者が氏名を自署しなければならないとされています。

これは、遺言者の同一性及び遺言が遺言者の意思に基づくものであることを確保するためです。

氏名については、通常は戸籍上の氏名が用いられますが、遺言者の同一性を確認することができれば足りますので、通称、ペンネームを用いても問題ないと考えられています。


氏名また名のみの記載であっても、遺言の他の記載内容から遺言者の同一性が分かる場合には有効と解されています。



押印


押印は、原則として遺言者自身がしなければなりません。これは遺言者の同一性及び遺言が遺言者の意思に基づくものであることを担保するためです。


作成上の留意点


(1)遺言書に用いられる字、用語については特に制限はありません。   かな、漢字、速記文字でもよく、意味内容がしっかりと分かれば   略字を用いることができます。



(2)用紙、用具についても格別制限はありません。

   ただ、保存に耐えるものが望ましいと考えられます。

   筆記用具については、保存及び変造防止を考えると、鉛筆ではな   くボールペン、万年筆等が望ましいと考えられます。

(3)遺言書の様式については特に制限はありません。

   遺言書が数枚に渡るときは、契印するのが望ましいと考えられま   す。


(4)相続ないし遺贈する財産の特定については、既登記の不動産の場   合は登記事項証明書(登記簿謄本)の表示をそのまま記載するの   が望ましいと考えられます。

   その他株券、預貯金についても、明確に特定するように気を付け   るべきです。



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2008年08月14日

共同で遺言をすることはできるか

■遺言の基礎知識


共同で遺言(遺言状)をすることはできるか?

共同遺言の意義

二人以上の者が同一の証書を用いて遺言をすることを共同遺言といいますが、この共同遺言は民法975条によって禁止されています。


共同遺言には次の3種類のものがあるといわれています。


1)2人以上の者が同一の証書を用いつつも、それぞれ関係なく独立し  て遺言をする場合。

  例えば、夫婦が同一の用紙にそれぞれの財産の処分に関し別々に遺  言をする場合です。


2)2人以上の者が同一の証書を用いて相互に遺贈しあうこと等を定め  る場合。

  例えば、夫婦がお互いの死亡を条件に財産を遺贈するという遺言を  する場合です。


3)2人以上の者が同一の証書を用いて相互に相手の遺言条件としてい  る場合。

  例えば、夫の遺言が執行すれば妻の遺言も執行するというように相  手の遺言を条件としている場合です。

共同遺言禁止の理由

遺言は2人以上の者が同一の証書ですることができないとされてます。

したがって、上記1)〜3)の共同遺言が禁止されている理由としては次のものが考えられます。

1)遺言は本来遺言者の自由な意思に基づいてなされるものですが、共  同で行うことを認めると、相互に何らかの影響を受け自由な意思に  基づいて遺言をすることができなくなる危険性がある。



2)遺言者は自由に遺言を撤回することができますが、共同遺言をした  1人が撤回をすることが出来るのか、仮に撤回を認めた場合にどの  ように処理するのかについて問題が生じる。



3)共同遺言者の一方の遺言が方式を満たさないなど無効自由がある場  合に、他方の遺言は有効なのか否かについて問題が生じる。


4)共同の遺言がそれぞれの遺言を条件としている場合に、一方の遺言  者がその条件に反して財産を処分した場合、他方の遺言がどうなる  か問題になる。


共同遺言に当たるか否かが問題となる場合


1 夫婦それぞれが別々の証書に記載した場合

同一の証書で遺言を行うことが共同遺言の要件になりますので、それぞれが別々の証書を用いて作成した場合には、そもそも共同遺言には該当しません。


したがって、この場合はそれぞれの遺言が別々のものとして有効になります。


2 同一の証書に2人の遺言が記載されているが一方に方式違反がある  場合


同一の証書に2人の遺言がなされているが、そのうちの一方に氏名を自書していないという方式違反があった場合でも、禁止された共同遺言に該当するとの判例があります。

つまり、この場合は、方式違反がない他方の遺言についても有効な単独遺言として扱われないということになります。


3 共同遺言の形式があっても、実質的には単独遺言と評価できる場合


一見したところ共同遺言としての形式になっていても、その内容からすると単独の遺言と評価できるので有効であるとする判例があります。

これは、遺言の内容としては1人の財産の処分に関するものであり、その他のもう1人の部分は法律上の意味を持たないことから、実質的には単独遺言と評価することができることを理由としています。


4 別々の用紙に記載された遺言書が1通に綴られている場合


一通の証書に妻及び夫の遺言が記載されている場合であっても、両者が容易に切り離すことができる場合には共同遺言には該当しないとする判例があります。


5 独立した自筆証書遺言が同一の封筒に入れられている場合


この場合は、同一の証書に遺言がなされたわけではありませんから、共同遺言には該当せず有効になります。



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2008年07月29日

遺言の種類と方式2

遺言の種類と方式(2)

公正証書遺言

公正証書遺言は次の方式に従って作成される遺言(遺言状)です

1)1証人2人以上の立会いがあること。
2)遺言者が遺言(遺言状)の趣旨を公証人に口授  すること。

3)公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者および証人に読み聞  かせ、または閲覧させること。

4)遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署  名し押印すること。

5)公証人が1から4の方式に従って作ったものである旨を付記して、こ  れに署名押印すること。


■長所

○公証人のもとに原本が保管されるので内容の変造、紛失の危険性があ りません。

○公証人が関与することにより遺言(遺言状)の効力が問題になる危険 性が少ないです。

○検認の手続きが不要であること等があげられます。


■短所

○公証人役場に証人とともに行かなければならないなど多少面倒です

○費用がかかることなどがあげられます。
 遺言者が病気等により公証人役場に行くことができない場合には、公 証人に病院、自宅まで来てもらうことができます。



秘密証書遺言

秘密証書遺言は次の方式によって作成される遺言です。

1)遺言者が署名し押印すること。

2)遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印  すること。

3)遺言者が公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己  の遺言(遺言状)である旨ならびにその筆者の氏名及び住所を申述  すること。

4)公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載  した後、遺言者と証人がこれに署名押印すること。



■長所

遺言(遺言状)の存在については明らかにしながら、遺言(遺言状) の内容を他者に秘密にして保管することができます。

○自書能力がなくても作成できること、等があげられます。

■短所

○遺言書の内容については公証人は関与しないため内容に問題が生じる 可能性があること等があります。

秘密証書遺言の場合、遺言者自身の署名押印が必要とされますが、自筆証書遺言とは異なり本文については、代筆、ワープロによることもできます。

もっとも、秘密証書遺言の場合は、遺言を執行するために家庭裁判所の検印が必要とされます。なお、秘密証書遺言としての要件を欠いていても、自筆証書遺言としての要件を具備していれば、自筆証書遺言として有効になります。

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2008年07月25日

遺言書の方式と種類

遺言の方式と種類(1)

遺言(遺言状)は、民法に定められた方式にしたがって作成させなければなりません。

遺言(遺言状)の方式には大きく分けて普通方式と特別方式があります。

普通方式には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。

また、特別方式には危急時遺言、隔絶地遺言があります。普通方式にはそれぞれ短所、長所があるため作成の意図、目的に従ってどの方式を選択することになります。

自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、押印することによって作成することができます。

■自筆証書遺言の長所


  • 最も簡単で費用がかからない。
  • 存在及び内容を秘密に出来る。


■自筆証書遺言の短所


  • 遺言(遺言状)を紛失したり、偽造、変造されたりする危険性がある。
  • 方式の不備、文言の解釈に問題が生じ無効等の可能性がある。




自筆証書遺言では、文字通り自筆によることが要求されており、ワープロ、タイプ等による作成は認められていません。

氏名については氏または名のどちらかのみのきさいでもよく、戸籍上の氏名ではない通称、ペンネームでも有効であると解されています。

押印については三文判でも問題はありませんし、押印の代わりに指印でもよいとされる判例もあります。

もっとも確実に遺言の効力に問題を残さないためには、戸籍上の氏名を用いて実印を使用するのが望ましいと考えます。

日付については遺言作成時の遺言能力の有無や、矛盾抵触する遺言(遺言状)が複数存在する場合の前後関係を解決するために必要とされているため、年月日が客観的に確定できる程度に特定されていないといけません。

したがって「平成20年5月○日」というように年、月、日を明確に記載するようにするべきでしょう。

この点、「平成20年自分の誕生日」という記載は良いとされますが、「平成20年5月吉日」という記載は認められていませんので注意ください。


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2008年07月24日

遺言書の作成方法と注意事項とは

<strong>遺言書の基礎知識



遺言書の作成方法と注意事項


遺言(遺言状)の方式には民法に定められており、その方式を満たさなければ、遺言(遺言状)としての効力が認められないことになります。

また、それぞれの方式の長所・短所を考慮して、各人の置かれている状況に応じて最適なものを選択するのが良いでしょう。

遺言(遺言状)は、被相続人が死亡後の自己の財産に関し最終意思を表示した場合には、その意思を尊重するという制度です。

もっとも、被相続人の意思が効力を生じる時には被相続人は既に死亡しており、遺言(遺言状)が被相続人の意志に基づくものであるのか、被相続人の意思の内容がどのようなものであるか、をめぐって相続人等の利害関係人の間に争いが生じる可能性があります。

そこで民法は、遺言者の真意を明確にし、遺言(遺言状)をめぐる紛争を防止するために、遺言の方式及び遺言をすることができる事項を厳格に定めています。


遺言(遺言状)は15歳以上の人であれば誰でもいつでも自由にすることが出来ます。

遺言(遺言状)をしたくなければしないことも自由です。一度遺言をしたとしても、遺言の方式に従えさえすればいつでも遺言の全部または一部を自由に撤回することができます。

遺言自由の原則を保障するために、遺言者は遺言を撤回する権利を放棄することは出来ません。

また、詐欺などによって被相続人に相続に関する遺言をさせたり、撤回、取り消し、変更させた者は相続人になることはできないと定めることにより遺言の自由を担保しているわけです。

このように、遺言(遺言状)によって遺産の処分を自由にすることができるのが原則ですが、相続人の遺留分を害することはできず、遺留分の点で遺言自由の原則は制限されています。

タグ:遺言 相続
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